支持率回復へ「劇薬」の誘惑
外敵を煽り不満を逸らす
先ほど申し上げたように、高市首相肝入りの「飲食料品の消費減税」や「骨太の方針」は、物価高対策や「強い経済」という点では、残念な結果に終わる可能性大である。
そうなると、「なにが円安ホクホクだよ、ふざけやがって!」「飲食料品も大して安くならないし、外食がバタバタ倒産しちゃってどうしてくれるんだ」という国民の怒りや不満が、高市首相や政策を推し進めた側近たちに向けられてしまう。
これを避けるには、物価高とか生活苦なんて悩みがちっぽけに感じる、恐ろしくて強大な「外敵」を示すのがベストだ。日本民族の存続を脅かすような危機を前に、「高市おろし」なんて内輪揉めをしている場合ではない、と考えるのが良識のある国民というものだ。
中国は高市首相になってから「新型軍国主義」「日本の右翼が再軍備を進めている」などと批判し続けている。そんな流れで、高市首相が靖国参拝を強行すれば、これまで以上の猛反発をしてくる。
これは日本と日本人にとって喜ばしいことではないが、高市首相にとっては「追い風」だ。国民の間に「なんて中国に文句を言われなくちゃいけないんだよ」という不満や怒りが高まって反中国の世論が高まれば、物価高やら生活苦の問題はスコーンとどこかへ飛んでいく。
そして、国民の間では「中国の圧力に屈しない、言うべきことは言う強いリーダー」を求める声が強くなっていく。高市首相の人気が爆上がりするということだ。
実際、歴代首相がずっと避け続けてきた「台湾有事」発言をした際も世論は好意的で支持率にも影響がなかった。物価高や生活苦の人々の中でも、「生意気な中国にギャフンと言わせた」「中国人観光客が来なくなってせいせいした」と溜飲の下がったという人がかなりいたのである。
秋の臨時国会で、消費減税法案をめぐって野党の追及をうまく処理できず、支持率が低下するようなことがあれば、半年前の成功体験から再び「中国の脅威」を持ち出す可能性もあるのではないか。
実際、「外敵で支持率回復」というシナリオが、日本においてそれほど珍しいことではないというのは歴史が証明している。







