「口だけ番長」からの脱却
岩盤支持層の失望を覆すか
「首相になるといろんな責任があるから思うように動けないんだよ」と擁護をする声もあるが、そんなことは政治の世界で生きる人ならば、みんなわかりきっている「常識」だ。
にもかかわらず、「途中で参拝を止めたり、中途半端なことをするから相手がつけあがる面はある。どんなに批判されても淡々と続ける」などとかっこいいことを主張し続けてきたので、保守の人々は「ああ、この人ならばもしかしたら」と応援してきたのだ。それが「ああ、やっぱりダメか」となったので、「裏切られた感」はかなり大きい。
今回、在任中の靖国神社参拝を強行すれば、こういう「保守の失望」は一気に消し飛ぶ。2013年12月に安倍晋三元首相が参拝をして12年以上、日本の首相は「外交的配慮」もあって誰も靖国へ行っていない。その沈黙を打ち破るような形で「電撃参拝」を成功すれば、保守・愛国者のみなさんは強力な「高市親衛隊」になってくれる。
もちろん、これはなんのイデオロギーのない一般国民からすればピンとくる話ではない。「また関係悪化じゃねえか」と嫌がる人もいるだろうが、高市首相の人気回復という点では意味がある。トランプ大統領の「岩盤支持層」のように、やることなすこと応援してくれる層というのは勝手にメディアやアンチを攻撃してくれる。「高市親衛隊」が増えれば、唇寒しで政権批判を抑えることができる。
そして、3の《トランプ大統領なら「高市首相の靖国参拝」を習近平とのディールに利用しかねない》という点もある。
まだ、アメリカが「世界の警察」だった2013年、安倍晋三元首相が靖国神社を参拝したとき、米政府は「大いに失望している」と批判した。日中関係だけではなく、日韓関係もガタガタになるので、アメリカ側が考える「米日韓の連携で中国の脅威を抑え込む」という座組が成立しないからだ。
しかし、時代は流れ、今やトランプ大統領のアメリカは、中国との戦略競争を続けながらも、貿易や安全保障をめぐって取引型の関係構築を進めている。経済的にも依存しているので、ただ敵対するのではなく、自国に有利な形で取引を進めて優位に立ちたいのだ。







