政策での人気回復は不可能
浮上する「靖国参拝」カード

「いやいや、そんなことよりもまずは物価高対策で結果を出すことだろ」というごもっともな指摘が全方向から飛んできそうだが、残念ながら高市首相が「悲願」として強行している「飲食料品消費税を2年間1%にする」というのは、期待するような効果は得られない可能性が高い。

 この連載でも繰り返し述べてきたが、年間数万円程度の減税効果では給付金と変わらないので、せいぜい貯蓄が増えるくらいで、コロナ禍の欧州でVAT(付加価値税)を下げたときもその程度のものだった。

 もっと言ってしまうと、高市首相が執着している「積極財政」を進めることのマイナスの方が大きい。首相肝入りの「骨太の方針」を発表した途端、円安・債券安になった「骨太ショック」が示すように、金融市場はサナエノミクスをまったく信用していない。首相や経済ブレーンたちが「円安上等!」と叫んでも、我々庶民の暮らしが上向くことはないということだ。

 このように、政策面では高市人気の回復は難しい。となると、まったく別の方向で「やっぱり高市さんはこれまでの首相とは違うな」と国民に知らしめなくてはいけない。それを最もわかりやすく、インパクト大で実現できるのが「靖国参拝」である。

 8月13日現在、終戦記念日の参拝は見送る方向だと大手メディアが報じている。しかし、この日に行わなくとも、秋季例大祭や安倍晋三元首相のように首相就任1年の節目などのタイミングで靖国参拝に踏み切るのではないかと筆者は考えている。理由は以下の3つだ。

1.「内政の失敗」から国民の目を背けさせるには「中国の脅威」を煽るしかない
2.靖国神社の春季例大祭、竹島の日で有言実行できず、岩盤支持層の心が離れかけている
3.トランプ大統領なら「高市首相の靖国参拝」を習近平とのディールに利用しかねない

 まず、1に関しては「国家統治の基本中の基本」である。為政者や政府というのは内政がうまくいかなくなると、自分たちに批判や憎悪が向かないように「外敵」をつくり出して、その脅威を煽ることで、国民の不満や怒りを発散させてきた。わかりやすく言えば、「ガス抜き」だ。

 トランプ大統領の場合は「移民」や「イラン」、プーチン大統領なら「ウクライナのナチス」、そして習近平主席は「日本の軍国主義」といった具合に、権力者というのは常に「国民の敵」を用意して、政権運営に利用してきた、という動かし難い事実がある。