トランプの対中ディール術
「暴れる日本」は最強の手駒

 習近平主席とディールしたいトランプ大統領にとって、日本は「新型軍国主義」のほうがありがたい。かつて中国とアメリカが裁いた「戦犯」が祀られた宗教施設に参拝をして、「台湾危機」を公言ししながら着々と軍事力を高めるような“荒ぶるリーダー”の方が「交渉カード」として使い勝手がいい。

 そうなると中国国内では日本の脅威が煽られる。習主席としては軍の暴走や、市民の暴動を抑えたいので、日本をおとなしくさせたい。そこにトランプ大統領がこんな助け舟を出す。

「サナエを制御できるのは私だけなので、日本との交渉を取り持ってやろうか」

 これはまさしく今、中東で行っていることだ。ネタニヤフとイスラエルに大暴れさせておいて、これを制御できるのは自分だけだとアピールしながら、中東諸国とディールに持ち込む。それが実際にうまくいっているかどうかは別にして、トランプ大統領らしいやり方だ。

「世界の警察」だった時代のアメリカならば、「そういう危険なゲームはやめるべきだ」と良識的な人が日本に忠告をしてきたが、今のアメリカは「自国第一主義」である。中国とのディールをうまく進めるためには、利用できるものはなんでも利用する。ホワイトハウスで大ハシャギしていた高市首相などうってつけではないか。

「愛国心はならず者の最後の逃げ場」という有名な言葉があるように、政治家というのは大衆のナショナリズムを刺激して、自らの権力維持に利用してきたという醜悪な現実がある。

 果たしてその「愛国」は、本当に心の底から国を想ってのことなのか、それとも「愛国票」を集めるためのものか。悲しい戦争を思い返す今の時期、あらためて考えていただきたい。