100%完璧な情報が集まるまで決断を引き延ばし、安全が確認できるまで立ち止まり続ける。そんな「分析ばかりで動かないベテラン」が、自らの思考を衰えさせ、急速に老け込んでいく現実に多くの人は気づいていません。この連載では、書籍『リーダーの仮面』をベースに、全ビジネスパーソンに必須の「人間の行動原理」と、何歳になっても脳を若々しく保ち続ける「決断のスピード」について解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

何歳になっても「若々しい人」が決断するときに頭に置いていること・ベスト1Photo: Adobe Stock

立ち止まるほど「脳」は老いていく

 40代、50代と年齢を重ねるにつれて、人は「失敗して恥をかきたくない」という保身のバイアスが強力に働くようになります。

「もう少しデータを集めてから決めよう」
「他社の成功事例がもっと出てくるまで待つべきだ」

 そう言って、会議室でじっくりと時間をかけて慎重に検討している姿は、一見、賢明なビジネスパーソンのように見えます。

 しかし、これこそが思考をサビつかせ、脳を老朽化させる最悪の習慣です

 ビジネスにおける評価者は、常にチームの「外(顧客や市場)」にいます。

 どれほど内部で議論を重ねても、やってみるまでは絶対に正解はわかりません。

 立ち止まっている時間は、ただ組織の成長を停滞させる「悪」のコストなのです。

1秒でも早く試して直す

パーフェクトな意思決定』という本で私は、時間をかけて慎重に決めることの無意味さと、スピード重視の決断がもたらす圧倒的な価値について次のように指摘しています。

ここで差がつくのは、いかに早く実行して修正したか、という部分です。
1 じっくり時間をかけて慎重に決めた意思決定
2 ある程度の不確実な状況の中で思い切った意思決定
という2つがあります。
たとえ「2」であっても、早く実行して修正すれば、「1」に勝てるということです。
さらに、「1」であっても、失敗することはあり得るわけです。
多くの組織で起こっている問題は、「1」が常態化してしまっていることです。
決めるまでに時間がかかりすぎている。
ただ、評価者が外にいるのだから、
「やってみないとわからない」
という不確実性が大いにあるわけです。
だから、いち早く決定して、そして一日でも早く、一秒でも早く、そのチームを勝利に導くことがリーダーの責任なのです。
――『パーフェクトな意思決定』より

 不確実な暗闇の入り口で、どっちが正解か悩んで立ち尽くすくらいなら、右か左か「勘」であってもいち早く決めて進み、行き止まりだったらすぐに引き返して修正する。

 そのサイクルを誰よりも高速で回し続ける人こそが、何歳になっても衰えず、若々しいエネルギーを保ち続けられるのです。

不確実性の恐怖を乗り越えよ

 スピード感のある意思決定を下すためには、失敗したときに「無能だと思われるのではないか」という個人的な不安や恐怖の感情を完全に排除しなければなりません。

 だからこそ、リーダーは「リーダーの仮面」をかぶる必要があります。

 個人的な弱さや恐れの「素顔」を仮面で隠し、上司という「機能」に徹して、

「ここから先はやってみないとわからない。私の勘において、今回はこのA案で進める。水曜の17時までに全員でやり切れ」

 と、不確実な状況でも堂々と言い切るのです。

 100%の正解を求めず、リスクを引き受けて一歩を踏み出す勇気。

 それこそが、あなた自身を何歳になっても成長の打席に立たせ、組織を最後まで生き残らせる究極の生存戦略なのです。