しかし、都道府県高野連の役員や、日本高野連の役員の多くは、データ野球について全く理解していない。ネット上でも実地でも多くのセミナーや勉強会が行われているが、高野連関係者の顔を見ることはない。これを活用することは野球の進化を促進するだけでなく、野球部員にアナリストという新たな役割を与えることにもつながり、高校野球の多様な発展を促すことができる。
高野連関係者によれば、高校野球界がこうした「情報化」に消極的なのは、プロ側へのデータ流出の懸念があるからだという。また都道府県高野連は財政難と時間的な余裕がないことが、障害になっているという。中高年の指導者が「情報化に疎い」という問題もあろう。
日本高野連は、今後、こうした部分への理解を促進するために「データ野球」の専門部会を創設すべきだろう。
佐々木朗希に投げさせなかった
監督に非難が集中した
佐々木朗希が千葉ロッテに入団した2020年、石垣島の春季キャンプには、彼の故郷の岩手県からもファンがやってきていた。筆者が取材パスをぶら下げているのを見ると、老人が近づいてきて「佐々木は今日は投げんのか?」と聞いてきた。「今日はブルペンには入らないようです」と言うと「若いうちから甘やかすと碌なもんにならんぞ!」と脅しつけるように言った。
佐々木は前年の地方大会で、肩肘の酷使に配慮して決勝戦の登板を回避した。彼の骨はまだ未熟で、骨端線が開いていたからだが、大船渡高のOBや後援会からはごうごうたる非難の声が上がっていた。
大船渡高の國保陽平監督は、筑波大学野球部出身で、米独立リーグも経験した。先進的な指導をし、投手の肩肘のケアの重要性も理解していたが、佐々木を決勝に投げさせず、甲子園出場を逸したことで、OBや後援会の非難が集中し、詰め腹を切らされるように辞任した。
ある大阪の私学の監督は、甲子園常連校から東京六大学に進んだエリートだった。卒業後、指導者になった。当初は甲子園を目指して厳しい指導をしていたが、ある時選手たちが「少しも楽しそうに野球をしていない」ことに気が付いた。







