指導者の中には「今は時代が違うから、若い連中のやり方に任せる」と言う人もいるが、OB会や後援会などの人がみんなそういう考えとは限らない。
またひたすら監督に「甲子園に出ろ」と尻を叩く経営者の多くは、高校野球の「指導内容」よりも「結果」を重要視する。通信制高校など新しい業態の高校でも、それは全く同じで「甲子園出場」という「成果主義」に凝り固まっている。
現場にいる監督、コーチ、選手の多くは野球の新しいトレンドに触れ、学び、進化しているが、OBや後援者、学校幹部、経営者の多くは学ばないし進化しない。そして昭和の時代からの「成功体験」を振りかざして、指導者に「勝利」を求める。
高校野球ファンが求める
「汗と涙の甲子園」
さらに、多くの「高校野球ファン」を自認する人々も、昔ながらの「汗と涙の甲子園」を今後も存続してほしいと考えている。
『高野連』(広尾 晃、新潮社)
7回制をめぐるアンケートで、一般のファンは9割がたが「7回制に反対」だったが、その理由として「終盤の勝負の醍醐味がなくなるから」を挙げる人が最多だった。そんな感傷的な理由で高校野球の未来についての議論が左右されているのだ。
永年、高校野球に携わり、様々な役割を果たしてきた関係者は「こうした高校野球を愛する人々のおかげで、今の高校野球はあるわけです。いかに高校野球に改革が必要だと言っても、こういう人たちを切り捨てるわけにはいかない。高校野球はベンチャー企業ではないのだから。粘り強く話をしていくしかない」と言った。
変革の時は来ているのに「様々な事情」でなかなか変わることができない。それはまさに「日本社会」の縮図だ。「高野連」「高校野球」の未来は、こうした現状を超克した向こうにある。簡単な道ではないが、高校野球に関わる全ての人々が、真摯で真剣な議論を重ねるほかはないのだと思う。







