「人生を振り返ると、失敗したことばかり思い出してしまう」。年齢を重ねるほど、叶わなかった夢や過去の選択を振り返り、「自分の人生はこれでよかったのだろうか」と考えることがある。しかし、同じ人生でも、どこに目を向けるかによって、その評価は大きく変わる。では、老後に「自分の人生は失敗だった」と思ってしまう人は、どんな考え方をしがちなのだろうか。話題の書『人生は気づかぬうちにすぎるから。「自分第一」で生きるための時間術』から、そのヒントを紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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自分の人生は「失敗」なのか?
「思い描いていたような仕事には就けなかった」
「お金のことで、家族に苦労をかけてしまった」
「もっと大切にすべきだった人がいた」
年を重ねると、過去の選択や叶わなかったことを振り返り、「自分の人生は失敗だったのではないか」と感じることがある。
もちろん、誰にでも思い通りにならなかった出来事や、やり直したい選択はある。人生には、悔しさや悲しさを覚える場面がつきものだ。
しかし、その出来事だけを取り上げて、自分の人生すべてを「失敗」と決めつけてしまうのは早すぎる。
仕事を続けてきたこと。
誰かを支えてきたこと。
つらい時期を乗り越えてきたこと。
何気ない毎日を、今日まで生きてきたこと。
そうした積み重ねまで見えなくしてしまえば、どれほど多くのものを持っていても、自分の人生を否定することになる。
大切なのは、人生のなかで「できたこと」の存在を無視しないことだ。
「認知の歪み」を避ける
そのヒントになるのが、次のエピソードである。
独り親のジャクソンは、毎日の仕事をなんとかこなしているが、家で料理をする時間が足りず、テイクアウトに頼っている。彼はなぜかそれを「失敗」とみなしている。息子の宿題を手伝ったり、請求書の支払いをしたりといった、その日の「成功」をすべて無視してしまう。
(~中略~)
これらは「フィルタリング」や「過度の一般化」などと呼ばれる「認知の歪み」であり、慢性的な時間不安の原因となる非合理または誇張された思考パターンだ。
認知の歪みを経験しているとき、あなたは非現実的な考えを信じてしまう。こうした考えを抱いていると、状況を悪化させ、自己破壊的な悪循環に陥りやすくなる。
認知の歪みには、次のようにさまざまな種類のものがある。
・フィルタリング:物事の肯定的な側面を無視して、否定的な側面だけに目を向ける。
・過度の一般化:1つの悪い結果を、無限の失敗のパターンとしてとらえてしまう。
・個人化:悪いことが起きるとすべて自分のせいだと考える。
・白黒思考:状況を極端な二者択一でとらえ、中間の立場を取らない
人生を振り返れば、後悔したことや、うまくいかなかった出来事は誰にでもある。
けれど、その一部だけを切り取って「自分の人生は失敗だった」と結論づけるのは、人生を公平に見ているとはいえない。
大切なのは、無理に「自分は幸せだった」と言い聞かせることではない。
つらかったことはつらかったと認めたうえで、それ以外の事実にも目を向けることだ。
誰かに感謝されたこと。
自分なりに守ってきたこと。
途中で投げ出さずに続けたこと。
苦しい時期にも、もう一度立ち上がったこと。
人生は、叶わなかった夢や一度の失敗だけで決まるものではない。
もし「自分の人生は失敗だった」という考えが浮かんだら、まずは「今、悪かったことだけを見ていないか」と問い直してみよう。
できなかったことだけでなく、できてきたことも数え直す。その習慣が、過去を必要以上に暗いものにしないための第一歩になる。






