「単に“今日中”の意味が人によって違うからでしょ?」と思ったら大間違い。理由はそれだけではありません。「今日中」という言葉を使う人は、その時点で、ある問題を抱えているのです。では、それは何か? 書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から、その本当の理由を紹介します。

仕事ができる人は「今日中に終わります」と言わない。その本当の理由Photo: Adobe Stock

「今日中」と言う時点で、見積もりができていない

そもそも「今日中」は曖昧な言葉です。17時なのか、退勤するまでなのか、23時59分なのか、人によって捉え方が違います。だから具体的な時刻を伝えたほうがいい。これは当然でしょう。

しかし、仕事ができる人が「今日中」と言わない理由は、それだけではありません。では、何でしょうか?

それは、「今日中」と言っている時点で、その仕事が具体的に何時に終わり、どれくらい時間がかかるのかを、きちんと見積もれていないからです。

「今日中」としか言えないのは、計画が甘い

書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』には、こんな言葉があります。

「いつ終わるかちゃんとわかっていなかったのに、計画として決めてしまった。そしてその『適当な見積もり』がいつの間にか『計画』となり、さらには人に伝えたために『期限』になってしまったのです」

「今日中に終わります」という言葉の裏には、「まあ、一日あれば終わるだろう」という感覚的な見積もりが隠れていることがあります。

しかし、きちんと計画を立てている人は違います。どんな作業が必要で、それぞれ何分かかるのかが見えているため、「今日中」という大きなくくりではなく、「16時半には終わります」「確認まで含めると18時ごろです」と具体的に答えられます。

「今日中」という曖昧な期限しか出せないのは、仕事を始める前の計画が、まだ粗いということにほかなりません。

前から順番に考えれば「何時に終わるか」が見える

では、どうすれば「何時に終わるか」までわかるのでしょうか。そこで使うのが「脳内リハーサル」です。

難しくゴールから逆算する必要はありません。「まず資料を確認する→必要なデータを集める→グラフを作る→本文を書く→最後に確認する」と、前からステップ・バイ・ステップに仕事を頭の中で進めます。

すると、「データ収集に30分」「グラフ作成に1時間」「本文に1時間」と、必要な時間まで具体的に見えてきます。13時から始めるのであれば、「だいたい16時半には終わる」とわかるでしょう。計画モードできちんと脳内リハーサルをしていれば、仕事は現実で始める前に、一度頭の中では終わっています。だからこそ、終了時刻まで具体的に見積もれるのです。

仕事ができる人は「何時に終わるか」を伝える

もちろん、現実には急な依頼やトラブルも起こるので、終了時刻を完璧に当てることはできません。それでも、「なんとなく今日中」と「この工程をこの順番で進めれば17時ごろに終わる」では、計画の精度がまったく違います。

仕事ができる人は、未来を正確に予言できるから「17時に終わります」と言えるわけではありません。手を動かす前に、前から順番にステップ・バイ・ステップで脳内リハーサルし、必要な作業と時間を把握しているから言えるのです。やってみると、ゴールから逆算して考えるよりはるかでラクであることに気づくはずです。

「今日中」ではなく「17時に終わります」。そこまで具体的に言えるかどうかに、仕事を始める前の計画の差が表れるのです。