睡眠時無呼吸症候群に「内服薬」開発中、CPAP療法のマスクが使えない人の選択肢にPhoto:PIXTA

 睡眠障害のうち、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、解剖学的要因などで睡眠中に気道が狭くなり、呼吸が止まる、あるいは浅くなる病態だ。

 一晩の睡眠中に1時間あたりの無呼吸(10秒以上、呼吸が止まった状態)と、呼吸が著しく浅い低呼吸の合計回数(AHI)が平均5回以上と定義され、1時間あたりのAHI:5~15回未満が軽症、15~30回未満は中等症、30回以上は重症だ。

 中等症以上のOSAに悩む患者は50代の女性で1割弱、男性で10~20%と推測され、日中の過度な眠気や血圧、脳・心臓など循環器への悪影響が指摘されている。

 OSA治療では睡眠中に専用のマスクを装着し、空気を送り込んで気道を確保するCPAP療法が確立されているが、マスクが不快で脱落率が高く、内服薬が求められていた。

 OSA治療薬を開発している米国の企業がこの春に報告した臨床試験では、CPAP療法を試みたが、失敗した経験があるOSA患者646人(年齢中央値58歳、女性49.3%)を2群に分け、喉の筋肉を緊張させて気道を確保する有効成分を含む実薬(内服薬)とプラセボとを比較している。

 患者の重症度は軽症34.4%、中等症42.4%、重症23.2%で、試験開始から半年間、毎晩寝る前に実薬またはプラセボを1錠、飲んでもらった。

 その結果、実薬群は試験開始26週時点でAHIが開始時から平均44.1%低下。しかも実薬を飲んだ17.6%がAHI:5回未満、つまりほぼ正常域に改善していたのだ。

 気になる副作用は、不眠、口の渇き、吐き気、排尿困難などだった。

 興味深いのは、本剤の効果が体格指数(BMI)18.5~41.9のさまざまな体形とアジア人を含む多様な人種で確認されたことだ。一般にイメージする肥満=OSAとは異なり、日本人は非肥満のOSAが少なくない。一説では4割がBMI:25以下といわれている。この5月、話題のやせ薬がBMI:27以上の中等症OSAに適応拡大されたが、今回紹介した治療薬はもっと幅広いニーズに応える可能性があるだろう。

 本剤は現在、米国での承認申請が行われている。実臨床でも効果を発揮できるかどうか、注目しておきたい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)