マンション羅針盤 管理&売買Photo:PIXTA

金利上昇局面だ。多ければ数億円貯まっているマンションの修繕積立金を高利で運用したいと考えているマンション管理組合も多いだろう。建設費の高騰の中、すこしでも運用益を上げたいと考えるのは自然である。だが、実は金融商品を探すよりも先にやるべきことがあるという。連載『マンション羅針盤』の第42回ではその具体的な方法をケース別に解説する。(コネクトコンサルティング 代表取締役・税理士法人アイム会計事務所 社員税理士 大浦智志)

「建築費高騰を利上げ局面の運用益でカバーする!」
そんな甘い夢が通用しない、これだけの理由

 この秋、私の手元には同じ内容の相談が集中して飛び込んできています。自治体の専門家派遣で伺う築40年を超えるマンションから築10年前後の数百戸規模のマンションまで、規模も築年数もさまざまですが、どれも「数年前に作った長期修繕計画が工事費の値上がりで合わなくなった。計画を見直し、積立金をいくら上げれば足りるか検証してほしい」という相談です。

 加えて増えたのが、利上げに伴う相談です。日本銀行は9月18日、政策金利(無担保コール翌日物)を1.25%程度に引き上げ、9月24日から適用すると決めました。主要行も短期プライムレートや住宅ローン変動金利の基準金利見直しを発表しています。私がお付き合いしている管理組合理事会から「金利が上がったのだから、積立金の利息で少しは埋まりますか」「国債や社債で運用した方がよいのでは」などと質問されるようになりました。超低金利が長く続き、受取利息が意識されてこなかっただけに、自然な疑問です。

 ただ、結論を先に申し上げますと、利上げはたしかに追い風ですが、積立金を積極運用したところで近年の建築費上昇率の前ではその効果は限定的になってしまいます。管理組合がやるべきなのは、金融商品をうまく選ぶことだけではなく、マンション設備の「何を、いつ、どこまで直すか」という修繕の手綱を握ることです。何をどうすべきかはマンションごとに異なります。次ページから具体的に見ていきましょう。