「忙しい、忙しい」が口癖になっている人はいないでしょうか。朝からメールを返し、資料を作り、チャットに対応する。そこへ同僚から話しかけられ、「あ、あれもやらなきゃ!」と別の仕事まで思い出す。一日中バタバタしているので、本人が「忙しい」と感じるのも当然でしょう。しかし、同じくらい仕事を抱えているのに、淡々と仕事を終わらせていく人もいます。この違いは、単純な仕事量だけでは説明できません。書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から、「忙しい」と感じる人の頭の中で起きていることを紹介します。
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「忙しい」はただの感覚
「忙しい」と感じると、「仕事を抱えすぎているからだ」と考えがちです。しかし、実際には仕事の量だけではなく、「頭の中でいくつもの仕事が同時に動いていること」が、忙しさにつながっています。
資料の用意をしながら「あのメールを返さなきゃ」と考え、メールを開いたら「そういえば経費精算も今日までだ」と思い出す。そこへチャットが届き、同僚からも話しかけられる……こうなると、頭の中では「資料もやらなきゃ」「メールも返さなきゃ」「経費精算もある」「チャットにも答えなきゃ」と、複数の仕事が同時に存在します。つまり「忙しい」とは、単に仕事が多い状態というより、頭の中で仕事が渋滞している状態です。言ってしまえば、感覚的なものにすぎません。
頭の中が忙しい人は「マルチタスク」で渋滞している
書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』には、こんな言葉があります。
本人は複数の仕事を同時に進めているつもりでも、実際には「資料作成→メール→チャット→資料作成→経費精算」と、シングルタスクを高速で切り替えています。メールを書いている間は資料作成が止まり、経費精算をしている間はメールも資料作成も止まっています。さらに元の仕事へ戻れば、「どこまでやったっけ」「次は何を書くんだっけ」と、頭を元の状態へ戻す必要もあります。
たくさんの仕事に触れているため「ものすごく忙しい」という感覚は強くなりますが、仕事が進んでいるとは限りません。「忙しい」という感覚そのものが、切り替えが増えすぎているサインになっていることもあるのです。
仕事ができる人は「計画」と「実行」を混ぜない
では、仕事ができる人はどうしているのでしょうか。ポイントは、「計画」と「実行」を切り分けることです。
「計画」とは、何をやるのかを考える時間。
「実行」とは、決めたことに沿って実際に手を動かす時間です。
仕事が進まない人は、資料を書きながら「次は何をしよう」と考え、少し手を動かしては「このやり方でいいかな」とまた考えます。さらに別の仕事を思い出せば、そちらにも手を出す。「考える→手を動かす→考える→別の仕事をする」と切り替え続けるため、頭の中はどんどん忙しくなり、手を動かす時間も少なくなります。
一方、仕事ができる人は、計画の段階で「まずこれ、その次にこれ」とやることを決め、実行に入ったら一つの仕事に集中します。先に考えておくからこそ、実行中に余計なことを考えず、淡々と手を動かせるのです。作業を連続すれば、深い集中に入り、速度も上がっていきます。
「忙しい」を減らすなら、仕事ではなく「切り替え」を減らす
仕事ができる人も、当然たくさんの仕事を抱えています。それでも、目の前では一つの仕事しかやりません。「この1時間は企画書」と決めたらメールやチャットを閉じる。集中したいなら話しかけられにくい場所へ移動する。途中で「あれもやらなきゃ」と思い出しても、その仕事には飛びつかず、メモだけして目の前の作業へ戻る。こうしてシングルタスクで手を動かす時間を長く連続させます。
仕事ができる人が「忙しい」と言わないのは、頭の中でいくつもの仕事を同時に動かさず、「今はこれだけ」と一つずつ処理しているからです。仕事量をすぐに減らせなくても、頭の中の忙しさは減らせます。結果的に手を動かす時間が増え、仕事をこなせるスピードも上がります。
そのために、まず減らすべきなのは「切り替え」なのです。






