悪質だが「犯罪」とは言い切れない…91歳母が「点検商法」の被害に気づかなかったワケ悪質だが…91歳母が「点検商法」の被害に気づかなかったワケ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

母・ハルコ91歳は、俗にいう「介護未満」の状態だ。本格的な介護はまだ必要ないけれど、体力や認知機能の衰えた高齢の親の存在は、子どもにとっては心配のタネ。時に「マジか!」とイライラし、時に涙がこぼれる日々。それに付き合う娘(57歳)との攻防を、役立つ情報も交えながら綴る。(ライター 松浦小夏)

詐欺まがいの「点検商法」に
気づいていない高齢者も多い

 そろそろ寝ようかと思った夜の11時。LINEの通知音が鳴った。開いてみると、友人のマキちゃんからのメッセージだった。

「今週、○×ハウスという会社が、この辺りの家のインターホンを押して排水桝クリーニングの営業をしているようです。うちは、父が玄関先で話を聞いているところをお隣の人が止めてくれたのだけど、小夏ちゃんの実家にも来てないですか?」

 マキちゃんは私の1歳上で、家が近所で子どものころは一緒に遊んだ幼馴染だ。昨年、お母さんが亡くなり、今は88歳のお父さんと二人で暮らしている。マキちゃんのお父さんも、要介護状態ではないものの日常生活上での手助けは必要で、私の母・ハルコと同じ「介護未満」の状態だ。

 共通の心配を抱えているので、気にかけて連絡をくれたのだ。マキちゃんにお礼のLINEをして、翌朝、ハルコに電話をかけた。

娘:夕べ、マキちゃんから連絡がきて、そっちの方に排水桝のクリーニング業者が営業に来てるって聞いたんだけど……。

母:無料で点検してくれるっていうから見てもらったの。蓋を開けたら、ずいぶん汚れてたから、クリーニングしてもらいましたよ。

娘:えええええーーーっ! もしかしてお金払ったの?

母:無料って言ったのに、結局1万円だって。

娘:お母さん、それ、詐欺まがいの「点検商法」だよ。

母:えええええーーーっ! 優しそうないい人たちだったのに……。

 どうやらハルコは自分が騙されたことに気が付いていなかったようだ。

 国民生活センターによると、2015~18年度は1700件前後だった排水管や排水桝などの洗浄サービスに関する相談件数は、19年度に2249件に増加。20年10月にトラブル防止のために消費者への注意を呼び掛けている。全国の消費生活センターに寄せられた相談事例は、次のようなものだ。

●排水管や排水桝の洗浄サービスに関する相談事例
(1)事業者が「排水管を無料点検する」と訪問し依頼したら高圧洗浄を勧誘された
(2)「近所を回っている」と事業者が訪問し排水溝の点検に応じたら高圧洗浄を勧誘された
(3)「高圧洗浄が3000円」とのチラシを見て依頼したが実際は高額な費用がかかった

 ハルコが遭遇したのも似たようなケースで、ハウスクリーニング業者を名乗る2人組の男が突然訪問し、「近所の人に頼まれて関西から排水管の出張クリーニングに来た」「せっかく遠くまで来たので、この辺りの家の排水桝も無料で点検している」と話したという。