だが、ハルコから訪問買い取り業者が来た話を聞いた時には、すでにクーリング・オフ期間が終了していた。被害も大きなものではなかったので、「仕方がない」と諦めたのだった。代わりに、「知らない業者を家に上げないように」と念を押した。
それなのに、今度は点検商法に引っかかってしまったのだ。こちらもクーリング・オフの対象だが、料金は1万円で微妙な金額だ。手続きにかかる手間と時間を考えて、今回も諦めることを選択した。
点検商法と押し買い。手法は違えども、詐欺まがいの手口で消費者から金品を奪っていくのは同じだ。我が家の場合は不幸中の幸いで、いずれも被害額は大きなものではなかったが、大切な家族がカモにされ、尊厳を傷つけられたことはとても悔しい。
とはいえ、犯罪とは言い切れず、悪質業者を完全に排除するのも難しいだろう。現状では最初から関わらず、契約を結ばないことで、自分で自分の身を守るしかない。だから、娘は口を酸っぱくして母に伝える。
娘:どんなに優しそうな人でも、突然、家に来たり、電話をかけてくる業者は全部詐欺だと思って、今後一切、家に入れないこと。何か契約する前に家族に相談すること。
母:わかったわ。それにしても世知辛い世の中ね。いやになっちゃう。
ハルコの言う通り、世の中は世知辛い。残念だが、高齢者をカモにする悪質業者は確実に存在する。そして、オオカミがヒツジの皮をかぶって獲物を襲うように、彼らは笑顔で近づいてくる。
ハルコ91歳、本日も介護未満。娘の心配はつきない。








