「無料」という言葉は、人を無防備にさせる魔法の呪文だ。営業トークを信じて排水桝の蓋を開けて見たら、案の定、中はかなり汚れていた。何年も掃除していないのだから当たり前だ。「放置しておくと詰まって大変なことになる」と言われたため、作業してもらい、結局1万円を支払ったという。
男たちは、一応、汚水桝の中を高圧洗浄機で洗い流していったというが、表面の汚れをとるだけなら、わざわざ業者に頼むほどのことではない。私は自宅の汚水桝を家庭用のホースで清掃しているが、それで十分きれいになっている。果たして、業者に1万円支払って清掃してもらう必要があったのかは疑問だ。
排水管の洗浄サービスのトラブルでは、事例(3)のように当初は安い金額を提示しておいて、後で高額請求を行うものもある。それに比べると、ハルコが支払ったのは1万円で、一応、作業しているので詐欺とは言い切れない。
だが、無料点検を口実に消費者の不安を煽り、知識不足に付け込んで必要のないサービスを押し売りすることは「点検商法」と呼ばれ、悪質商法の一つに数えられている。
点検商法には、ハルコが遭遇した排水桝等の洗浄サービスの他にも、「屋根が壊れている」「床下が腐っている」「ガス機器が劣化している」などと嘘をついて、高額な契約を結ばせるというものもある。
また、「火災保険を使えば実質0円で屋根や外壁の修理できる」などと持ち掛けて、災害とは関係ない家の修理のために保険金を不正請求させ、高額な手数料をだまし取ったりする「火災保険詐欺」も問題になっている。工事業者に勧められたことでも、保険金を請求した本人が詐欺罪に問われる可能性もあるので、絶対に利用してはいけない。
普段から「高齢者狙いの詐欺には気をつけて」と注意していたのだが、いとも簡単に引っかかってしまったのだ。ハルコ曰く、業者は「優しそうないい人たち」で、まさか自分が騙されているとは思わなかったようだ。
実は、ハルコが詐欺まがいの悪質商法に引っかかったのは初めてではない。







