転職、独立、結婚、引っ越し。大きな決断ほど、「自分は本当は何をしたいのか」と考えます。しかし、それでも答えが出ないことがあります。『頭のいい人が身につけている「決断力」』(イースト・プレス)の著者・深谷百合子さんが勧めるのは、「やりたいこと」ではなく、まず「嫌なこと」を書き出す方法です。
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「迷っているなら、やればいいじゃん」が自分に返ってきた
深谷百合子さんには、人生の中で大きく迷った決断がありました。
中国企業への転職です。
転職するかどうかを考えたとき、当然、いろいろな懸念が出てきます。そこで深谷さんは、自分が何に迷っているのかを紙に書き出しました。
「これは、本当に日本に帰らなければ解決できない問題なんだろうか」
「中国にいても、できる方法があるんじゃないか」
一つずつ、自分に問い直していったそうです。
そして、最後に背中を押したのが、意外な言葉でした。
「迷っているなら、やればいいじゃん」
以前、自分が迷っている人にかけた言葉です。
それがブーメランのように、自分に返ってきた。
深谷さんは、その言葉で転職を決めました。
決断力とは「スパッと決める力」ではない
私の「1分朝活」に来ていただいた深谷さん自身、以前は「決断力」というと、強く、迷わず、スパッと決められる力だと思っていたそうです。
でも、自分の人生を振り返ってみると、実際にはそうではなかった。
迷っている。悩んでいる。不安もある。
その状態のまま、自分が何を大切にしたいのかを考えていた。
つまり、決断力とは「迷わない力」ではありません。
むしろ迷いから逃げずに、「自分は何を基準に選ぶのか」を確認する力なのです。
「やりたいこと」より先に「嫌なこと」を書く
「あなたが人生で大切にしていることは何ですか?」
いきなりそう聞かれて、すぐ答えられる人は、それほど多くないでしょう。
そこで深谷さんが勧めるのが、「嫌なこと」を書くことです。
モヤモヤすること。やりたくないこと。腹が立つこと。
たとえば、
「人に急かされるのが嫌だ」
と感じるなら、自分は「自分のペース」や「納得して進めること」を大切にしているのかもしれない。
「意見を聞いてもらえないのが嫌だ」
なら、「対話」や「尊重されること」が大切なのかもしれません。
嫌なことの裏側には、自分が守りたい価値観があります。
「何が好きかわからない」人でも、「これは嫌だ」は意外とはっきりしている。その「嫌だ」を掘っていくと、自分の判断基準が見えてくるのです。
自分の「マイルール」を、はがき大の紙にする
深谷さんは、自分の役割や大切にしたいことを「マイルール」として言葉にし、はがき大の紙に印刷して持ち歩いているそうです。
迷ったら、それを見る。
そして、
「そんな私は、この場面でどちらを選ぶのか」
と問い直します。
これも面白い方法だと思いました。
決断のたびにゼロから「正解は何だろう」と考えるのではなく、自分が大切にしていることに戻る。すると、「世間ではこちらが正しい」「みんなはこちらを選んでいる」という外側の基準に引っ張られにくくなります。
迷ったら「未来の自分」に聞いてみる
それでも決められないときには、「未来の自分」や「憧れている人」の頭を借りる方法もあるそうです。
「理想の自分だったら、どちらを選ぶだろう」
「あの人だったら、この状況をどう見るだろう」
そう考えてみる。
もちろん、その人と同じ選択をすればいいわけではありません。いまの自分の不安だけで考えている視点を、少し外側にずらすためです。
決断するとき、私たちは「どちらが正しいか」を探します。
でも、人生の大きな選択ほど、絶対的な正解などないことが多い。
だから最後は、
「どちらを選ぶ自分でありたいか」
に戻る。
迷わないことより、迷ったときに戻れる自分の基準を持っていること。そのほうが、本当の意味での「決断力」に近いのだと思います。








