写真はイメージです Photo:PIXTA
日本は自動車大国であると同時に、ランドクルーザーやレクサスといった高級車の盗難被害が相次ぐ「自動車泥棒天国」でもある。窃盗グループは世界をまたにかけて暗躍し、盗んだクルマをアラブ首長国連邦(UAE)などに密輸しているとみられる。日本車を狙うクルマ泥棒の最新事情と、元・窃盗犯への取材から見えてきた「愛車を守る方法」を解説する。(自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子)
日本が古くから
「自動車泥棒天国」と言えるワケ
海外の窃盗団にとって、日本は古くから「自動車泥棒天国」だったと言える。
何しろ、ランドクルーザー(以下ランクル)やアルファード、レクサスなど、国際的に高値で取引される人気車種・ブランドを擁している。
にもかかわらず、防犯体制が整ったガレージではなく「青空駐車場」にクルマを停めている人も見受けられる。
また、カーディーラーによる「クルマに標準装備されている盗難防止装置で問題ありませんよ」という営業トークを真に受け、防犯対策が不十分になっている人も少なくない。こうした言葉を信じて、他社製の防犯装置などを使用しなかった結果、新車の「レクサスLX」を盗まれるなど、実際に被害が出ていることも取材で分かっている。
その上、日本の中古車は走行距離が比較的少なく、外観もきれいなケースが多い。車検制度が整っており、多少古いモデルでも保安基準をクリアしている。これらの点もクルマ泥棒にとっては魅力的だ。
左ハンドルが主流の国にとっては、日本車は右ハンドルなのが玉にキズだが、それでも需要は高い。「盗難車でもいいから入手したい」と考える層もいるようだ。
具体的な窃盗の手段として、近年は以下のようなものが横行している。
・CANインベーダー(旧型)を使う手口
モバイルバッテリーに似た特殊なデバイス「CANインベーダー」を使って、自動車の電子制御ネットワークに接続し、エンジンを始動させてクルマを盗む方法。2019年頃から猛威を振るってきた。
車種によっては、バンパーをずらしただけで電子制御ネットワークへのアクセスが可能とされる。
自動車メーカー側も対策を進めており、例えばトヨタ自動車は、CANへの不正侵入を遮断する「トヨタセキュリティシステム」を開発・搭載している(※)。
※ランドクルーザー300のマイナーチェンジモデルなど、2022年11月以降の新型車に標準装備している。
・CANインベーダー(新型)を使う手口
約2年前から使われ始めた。自動車のドアやリアゲートに小さな穴を空け、通信配線にデバイスを接続。ヘッドライトユニットなどにアクセスしてエンジンを始動させ、クルマを盗み出す。
既存のセキュリティシステムでは対応できない場合があり、自動車メーカーは後付けのシステムを追加投入している。
・キーエミュレータ(通称ゲームボーイ)を使う手口
「キーエミュレータ」と呼ばれる特殊なデバイスを使用し、クルマのロックを解除する。この機器は任天堂のゲーム機に似ていることから“ゲームボーイ”の異名を持つ。
親しみのある異名とは裏腹に、性能面は凶悪。クルマのドアハンドルから出る信号をキャッチし、キー情報を丸ごと複製することが可能だ。車から数十メートル離れた場所でもキーを複製できるという。
窃盗団はこのデバイスを使って電子的な合鍵を作製し、ドアを開けてエンジンを起動して盗み出す。
海外の窃盗ツール販売サイトで売られている「ゲームボーイ」 出典:海外サイト拡大画像表示







