防犯カメラを設置しただけで
満足するのは早い

 さらに、盗難被害者の中には「まさか自分のクルマが盗まれるとは」と驚く人も少なくない。その理由は「古いから」「旧型だから」というものだ。

 だが先述の通り、最新モデルよりも旧モデルのほうがセキュリティは脆弱である。認識を改め、特にランクルなどの人気車は「旧型だから盗まれる」と思ったほうがいいだろう。

 防犯カメラの望ましい使い方もお伝えする。最近は防犯カメラを複数台設置する人が増えているが、それだけで安心して映像を確認しない人もいるようだ。

 しかし、クルマを盗まれてから見返しても意味がない。たとえ犯人が映っていても、変装して盗難車を使っていれば、正体が分からないのがオチだ。

 防犯カメラが役に立つとしたら「下見」の時である。窃盗犯は必ず、標的のクルマとその周辺を下見する。その時の録画が重要だ。

 犯人に妨害されないよう、目立たない場所にこっそりカメラを設置すること。映像を毎日確認し、不審な人物が訪れているなら、クルマを別の駐車場に避難させること。これらをお勧めする。

泥棒に盗まれた日本車は
どこに行くのか?

 ではここからは、窃盗団に盗まれた日本車の行方について、深掘りして考察してみたい。

 筆者の見立てでは、盗難車を流通させる経由地として有力なのがアラブ首長国連邦(UAE)だ。

 日本の警察や税関は、盗難車が引き渡された国・地域を開示しておらず、正確な台数は不明である。だが、筆者が過去に取材した「輸出を控え、港で船積みを待っているコンテナの中から盗難車が発見された事件」では、そのほとんどがUAE行きだった。

 こうした事例などから、筆者は日本で盗まれた中古車の一部が「Dubai Auto Zone」(中古車の輸入・再輸出のための専門経済特区)を経由して、アフリカや他の右ハンドル国などに再輸出されている可能性があるとみている。

 もちろん断定はできないが、実は今年に入ってから、この説を考えるうえで興味深い出来事が起きた。
 
 それは、アメリカとイスラエルによる軍事攻撃への報復として、イランが2月末に始めた「ホルムズ海峡の事実上の封鎖」だ。
 
 UAEにとってホルムズ海峡は、海上物流における重要な通り道である。貿易の肝となる地点の封鎖は、日本との「オモテの貿易」に響いている。