対談のとき、彼は夢を語っていました。貧しい家に生まれた彼は、奨学財団を設立して、貧しい子どもたちに勉学のチャンスを与えたいと考えていました。その基金をつくるために必死に働いていたのです。逮捕されたのはその直後でした。
人生には節々で身辺整理が必要です。
本当にこの生き方でいいのかを自問し、自分にとって何が必要で、何が不要なのかを考えて、モノや人間関係を整理して環境を整え、お金の使い方に優先順位をつけるのです。
金儲けできる人がすべきは
世の中のために役立つこと
もし、田中さんがもっと早い時点で身辺整理をしていたら、早くから自分の夢に気づくことができ、その実現のために行動を変えることができたのではないでしょうか。
なんのために金儲けをするのか、これが大事です。
金儲けが悪いわけではありません。金儲けができる人が金儲けをして、世の中のために役に立つこと、これが大事。
そのために身辺整理が大事なのです。
闇社会の人間関係は自分にとって益をもたらすのか、真剣に自問することができたように思います。
早く人間関係の身辺整理をしていればよかったのに……とても残念です。
彼の優しさをよく知る有名ジャーナリストや、政界を引退した有名政治家たちが、奨学財団の設立を応援したいと言い出していました。
『身辺整理』(鎌田 實、明日香出版社)
もう少し早く実施されて苦学生たちの喜ぶ姿を見れば、6年も放置されていた小さな事件で、お灸を据えられるようなことはなかったのではないかと思います。
そして、医師の立場として強く思うのは、彼が定期的にがん検診を受けていれば、胃がんも早期発見でき、命を落とすことはなかったかもしれないということです。
人は命の期限が迫ってから、慌てて身辺整理をしがちです。
でも、人生を後悔したくないなら、元気なうちから何度でも人生の身辺整理をし、軌道修正することが大切です。田中森一という男から、僕はそんなことを学びました。







