仕事がうまくいかないとき、「努力すれば乗り越えられる」「あきらめてはいけない」と自分を奮い立たせてはいないだろうか。しかし、頑張ってもどうにもならず、心が疲れてしまうこともある。では、世界のトップで戦い続けてきたストイックな人々はその「つらさ」とどう向き合っているのだろうか。仕事の壁にぶつかったとき、気持ちを少し軽くしてくれる著名人たちの名言を紹介する。※本稿は、名言ハンターの大山くまお『脱力名言。』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

仕事でぶつかった壁は
本当に「乗り越える」しかない?

羽生結弦
もう乗り越えようとしないです。つらいものはつらい、認めちゃう。つらいからもうやりたくないんだったら、やめればいいし。
それでいいと思ってます、僕は。
羽生結弦さん羽生結弦さん Photo:SANKEI

 私たちの前には、日々、さまざまな壁が立ちはだかります。

 なかでも、しょっちゅうぶつかって、なおかつ厄介なのが、仕事の壁です。

 与えられた仕事をうまくこなせない、仕事がどんどん難しくなっていく、どうしても苦手な仕事がある……。仕事の壁は、どうやって乗り越えればいいのでしょう?

「やっているうちに壁は乗り越えられる」

「あきらめずに食らいついて壁を越えろ」

 こんなことを言う人は、自分では励ましているつもりかもしれませんが、壁にぶつかっているこちらは途方に暮れるばかりです。そもそも結果が出ないと、低い評価を下されますし、できなかった自分も嫌になります。

 冒頭の言葉は、フィギュアスケーターの羽生結弦さんがテレビ番組「情熱大陸」に出演したときのものです。「つらいときはどうやって乗り越えるのか?」という質問に対して、間髪入れずに答えていました。

 壁が自分の前に立ちはだかったとき、努力して乗り越えようとするのはいいでしょう。でも、乗り越えられない壁にいつまでも固執していては、いたずらに疲弊してしまうだけです。目の前の壁を乗り越えられないと感じたら、素直に認めることのほうが大事ではないでしょうか。

 その上で、まわりの人に助けてもらって乗り越えるのか、回り道をして壁をやり過ごすのか、まったく違う道に進んでいくのかを決めていけばいいのです。

 過去に羽生さんは、大会で滑るプログラムを、過去のものに戻したことがあります。

 フィギュアスケートはシーズンごとに新しいプログラムに挑戦するのが通例で、この後ろ向きに見える選択は厳しい批判を浴びました。しかし、自分の持ち味と能力を最大限に引き出す選択をした羽生さんは、大会で世界最高得点を叩き出して優勝を成し遂げました。正面から壁にぶつかるのではなく、回避して成功したわけです。

 自分がベストを出せる方法を知っておけば、できないことを無理にやる必要はありません。のんびりいきましょう。