『風、薫る』第116回より 写真提供:NHK
今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第116回(2026年9月7日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)
「ようやく人並みになれました」人並みとは
シマケン(佐野晶哉)再び登場で、りん(見上愛)との関係が気になるところ、第24週のサブタイトルは「環」(演出:新田真三)。これまでひたすら大人しかった環(瀧七海)のターンになる。
環のほうがシマケンと密に接しているように見える。まさか、環がやさしいおじさんのようだったシマケンに惹かれるなんてことはあるのかないのか。よこしまな好奇心が頭をもたげてしまっている。
まずはシマケンとりんの再会。
甥・文四朗(蒼井旬)の進学に合わせ、ひと月ほど前に浜松の実家を引き払い、学校の近くの下宿に越してきたシマケン。
偶然、環と再会し、美津(水野美紀)が亡くなったことを聞いて、手を合わせにやって来た。
美津がこのタイミングで亡くなったのはまさか、別れたシマケンがもう一度、一ノ瀬家に来る作劇上のきっかけづくりだったのではないかと想像するとやりきれない(あくまで想像です)。
「甥ごさんと。そうでしたか」
このあとの少しの沈黙は、りんが事情を少し察したことを表しているのではないだろうか。誰かと結婚している様子でもなく、甥っ子とずっと一緒にいるということは、実家に何かわけがあったのだろうと感じるはずだ。
「実家でいろいろあって。初めて身を粉にして働きました」
りんに語るシマケン。いまは郵便配達夫をやっている。
髪が短くなり、話し方もふわふわしていない。
「なんだか別の人と話してるみたいです」
「ようやく人並みになれましたから」
彼の思う「人並み」とはどういうものなのか。自らしっかり稼いで、誰か(この場合、甥)を守ることであろうか。確かにそれは好ましいことではある。
りんはあとで、直美(上坂樹里)に「でもね、これでよかったんだよ、私とシマケンさんは。穏やかでいい顔してた」と語る。
安定した職業について、穏やかに暮らすことが、「人並み」というのは間違いではない。最低限の理想的な暮らしだろう。でも、ほんとうにそれでいいとは言い切れない。







