収入が増えなくても
心にゆとりを持つ

『美味しんぼ』
いいかい学生さん、トンカツをな、トンカツをいつでも食えるくらいになりなよ。
それが、人間えら過ぎもしない貧乏過ぎもしない、ちょうどいいくらいってとこなんだ。

 大ヒットグルメマンガ『美味しんぼ』(原作:雁屋哲、作画:花咲アキラ)の人気エピソード「トンカツ慕情」に出てくるセリフです。

 アメリカで成功した男性が、学生の頃に世話になっていたトンカツ屋さんの夫婦を探し求めるお話です。お金がなくてしょんぼりする学生に、トンカツ屋さんの主人の妻が「勉強してえらくなって頂戴よ」と声をかけると、隣りにいた主人が「人間そんなにえらくなることはねえ、ちょうどいいってものがあらあ」と言い、冒頭の言葉を続けるのです。

「トンカツ」は例であり、人によって「好きな本を買えるくらい」なのか「好きなカフェでくつろぐ」なのか、さまざま異なるでしょう。

 無理のない範囲で、生活に彩りを与える、ちょっとしたぜいたくはとても大切だと思います。収入がなかなか増えなくても、倹約一辺倒にはならず、心にゆとりを持って「ちょうどよく」暮らしたいものです。

「楽しむ才能」があれば
人生はいつだって豊か

ベンジャミン・フランクリン
富とは、それを持っている人のものではなく、それを楽しむ人のものである。

「アメリカ建国の父」ともいわれるベンジャミン・フランクリン。合理性と勤勉性を大切にしたため、多くのアメリカ人に支持されてきました。凧を上げて、雷が電気であると発見したのも、この人です。これはフランクリンが著した『プーア・リチャードの暦』からの一節です。

 ぜいたくができなくても、毎日が充実していれば、その人の生活はけっして貧しくはありません。むしろ豊かだといえます。

『脱力名言。』書影脱力名言。』(大山くまお、三笠書房)

 たとえば、お金をかけなくても趣味が楽しくて仕方がないという人は、十分豊かで楽しいものです。

 吉本浩二さんのコミック『定額制夫の「こづかい万歳」~月額2万千円の金欠ライフ~』は、月2万円前後のこづかいで十二分に趣味を楽しんでいる人たちの生態を描いています。家庭菜園をしたり、果実酒を作ったり、映画を楽しんだり、コンビニのお菓子を購入したり、駅で行き交う人を見ながらお酒を飲んだりと、誰もが楽しそうです。

 ぜいたくは、「持っている人」ではなく「楽しんでいる人」のもの。

 たとえ予算は少なくても、自分なりの工夫で毎日を機嫌よく過ごせているなら、それでいい。「楽しむ才能」さえあれば、人生はいつだって豊かです。