自由すぎると、むしろ苦しい…その理由にハッとした〈風、薫る第119回〉

亀吉、酒をやめていた

 チュウの店で働いている若い女性もたぶん、ああでもないこうでもないと選択肢に迷ったすえ、ここで働いているわけではないだろう。

 義務教育で誰もがある程度までは学べる制度ができたのはすばらしい進歩であった。ただ、現代でも、大学に進学できないのみならず、高校すら行けない状況もある。

 恵まれた者は進路に悩むことができるのだということを自覚させられる。まあ、だからといって、私たちはいい時代に生まれたとしみじみさせたいわけではないだろうけれど。

 亀吉は貞が「うちの孫は日本一の看護婦の娘だ」と言っていたとりんに告げて、去っていく。貞は別れるときはさんざん酷いことを言っていたが、環のために好物を作ったりして情のある人だった。

「酒はやめた」
「見ればわかります」

 酒さえやめればいい人なのに、の典型的な亀吉だったから、こんなにただただものの道理をよくわかった善人になったのだろう。

「患者と同じぐらい環のこと見てやれ」

 キャラ変にもほどがあるほど、どこまでももののわかった人になっている。

 ドラマの終盤、以前出てきた人が再登場して、主人公と清々しいやりとりをして退場していくことは少なくない。いろいろあったけれど、終わりよければすべてよし。やはりそういうドラマが好まれる。

 亀吉は最高のキャラクターとして退場していった。

 立つ鳥あとを濁さず。去り際は気持ちよく。去り際に捨てゼリフとしていやなことを言ってもいいことはない。あくまで感じよく振る舞うほうが勝ちだ。

 それにしても、りんは環が絵を描いていたことをまったく知らなかった。昔は、絵を壁に貼っていたけれど、それほど好きだとは思ってなかったようだ。

 雑記帳にたくさん描かれた絵を見たりんは、環を迎えに行く。

 元夫と元カレに続け様に会うってなかなか運命的に大きな星まわりが来ていそうだ。環の進路も気になるが、りんもこれからどうなるのか。