パソコンに向かいながらチャットに返信し、電話が鳴れば対応し、その途中で同僚から話しかけられ、また別の仕事を始める。本人も「今日も忙しい」と感じているでしょう。しかしなぜ、それだけ忙しく働いても、成果につながらない人がいるのでしょうか。今回は書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか? 仕事が3倍速くなる計画・実行・中断の技術』から、その原因を紹介します。

職場にいる「使えない人」ほど忙しそうに見える本当の理由Photo: Adobe Stock

「忙しい」の正体は、仕事量ではなく「切り替え」

忙しそうな人をよく観察すると、一つの仕事を猛烈なスピードで進めているわけではありません。むしろ、短時間に何度も仕事を切り替えています。「電話→メール→話しかけられる→ものを取りに行く→Wordを開く」のようにです。

この「切り替え」が多いと、頭は深く集中することができません。「さっき何をしていたんだっけ」「次は何をやるんだっけ」と、そのたびに頭の中で仕事を読み込み直す必要があるからです。

つまり、本人が感じている「忙しさ」の一部は、仕事の量そのものではなく、「切り替えの多さ」によって生まれているのです。

切り替えるたびに「仕事に戻る時間」が発生する

これは製造業で考えるとわかりやすいでしょう。

工場で商品Aをつくっている途中に商品Bへ切り替えるとしましょう。その際は、機械の設定や部品を変える「段取り」が必要になります。A→B→A→Cと頻繁に切り替えるほど、実際に製品をつくっていない時間が増えてしまいます。製品Aを連続で作れば、このスイッチによるロスがなくなります。

デスクワークも同じです。資料作成からメールに移り、また資料作成に戻った瞬間、すぐに元と同じ集中状態に戻れるわけではありません。「どこまでやったか」「何を考えていたか」を思い出して、ようやく作業が再開します。切り替えが増えるほど、この小さなロスが何度も積み重なっていきます。

「ずっと働いているのに終わらない」の正体

そのため、切り替えが多い人には不思議な現象が起こります。

本人は一日中、休む暇もなく働いているのに、「重要な仕事が何も終わっていない」という現象です。

これは「忙しいのに終わらない」のではありません。何度も切り替えているから頭は忙しくなり、その結果として仕事が終わらなくなっているのです。

「切り替え」をなくせ

対策はシンプルです。できるだけ同じ仕事をまとめて、一気に処理することです。

資料をつくるなら資料だけに集中する。チャットも届くたびに反応するのではなく、確認するタイミングをまとめる。

製造業で同じものをまとめて生産すれば段取り替えが減るように、仕事も同じ種類の作業をまとめれば、切り替えのコストを減らせます。

仕事ができる人は、たくさんの仕事を同時に動かしているのではありません。切り替えを減らし、一つずつ集中して終わらせているのです。