ご存じのように、リッツカールトンは世界最高クラスのラグジュアリーホテルをうたっている。

 リッツカールトン日光は全世界のリッツカールトンブランドで唯一温泉付きのホテルで、120年以上にわたって外国人向けの避暑地として利用された「日光レークサイドホテル」の跡地に建てられた高級リゾート。宿泊予約サイトでも1室(2人利用)で1泊12万〜22万円というラグジュアリーホテルだ。当然、宿泊者には最高の時間、最高のおもてなしを提供する。

 さて、そこでこのリッツカールトン日光の宿泊者になったとして想像していただきたい。営業時間外の大浴場から家族連れが出てくるのを目撃して、従業員に質問したら「ああ、チャンネル40万人登録の有名YouTuberのご家族なんで貸切にしてたんです」という答えが返ってきたら、あなたはどう感じるだろうか。

「40万! じゃあしょうがないね」という反応は少ないのではないか。それよりも、せっかく上質な宿泊体験をしていたのに、「インフルエンサーならなんでもアリかよ」と一気にシラけてしまうという人のほうが多いはずだ。

 これは冷静に考えれば当たり前だ。例えば、ディズニーランドの一般客が大混雑のパーク内で1日遊んで、閉園時間になって帰ろうとしたら、有名インフルエンサーの一家がやってきて「貸切」で動画撮影をしていたらかなりイラッとくるのではないか。

 テーマパークや商業施設などの場合「メディアツアー」としてオープン前や開業時間前に、報道関係者など限定して取材をさせることはある。ホテルや温泉も同じで、取材やロケで他の客に迷惑がかからないよう開業前や営業終了後に貸し切ることはある。

 しかし、板野さんは家族旅行にやってきた宿泊客だ。元AKB48だろうがインフルエンサーだろうが、そういうただの宿泊者が収益目的の動画を撮影するため、あの天下のリッツカールトンがメディア並みの便宜を図ったというのは、観光アミューズメント業界の常識とはかなりズレている。

 次の2の《外部の問い合わせに対して、その場しのぎの回答で「宿泊者」を守らなかった》というのも、ラグジュアリーホテルの常識とは大きく異なる。

 ご存じの方も多いだろうが、ホテルは「宿泊者のプライバシー保護」を徹底している。例えば、フロントに「本日○○さん泊ってます? 何人でいつまで滞在ですか?」などと問い合わせをしても明かさない。「家族」と名乗っても教えてくれないところもある。

 これは高級ホテルになればなおさらで、ホテルが盾になって、宿泊者の安全やプライバシーを守るということを強く意識している。しかし今回、「週刊女性PRIME」の問い合わせに対するリッツカールトン日光の回答からは、そのような意識はあまり感じられない。

 そもそも今回、板野さんが炎上したのは「特別な許可をいただいている」という釈明で火消しをしようとしていたところ、リッツカールトン側が「一般常識でも法律でも撮影ができかねる脱衣所等では、撮影許可は下ろしていません」と否定したことだった。

 これでSNSや一部メディアは板野さんが虚偽の説明をしている、もしくは都合のいい解釈をしたのではないかと攻撃を強めたのは周知の通りだ。

 しかし、フタを開ければ先ほど述べたように、脱衣所撮影はリッツカールトン側が「営業時間外入浴」という便宜を図ったから実現したのであって、しかも25年5月にもリッツカールトン側の許可のもとで同じような脱衣所での撮影がなされている。「脱衣所等では、許可を下ろしていません」というコメントと矛盾するような材料がゴロゴロ出てきてしまっているのだ。

 つまり、週刊女性PRIMEの最初の問い合わせで、「一般常識でも法律でも撮影ができかねる脱衣所等では、撮影許可は下ろしていません」というのは完全に余計な一言であり、危機管理的には「致命的失言」と言っていい。