
1980年代後半から90年代半ばに、オウム真理教の関係者が引き起こした犯罪は、日本中を震撼させた。その報道の最前線に立ち、真相を追及し続けたのが江川紹子さんだ。現在、江川さんは、ジャーナリストとしての活動に加え、大学教員として教壇に立ち、カルトにとらわれないための“心のワクチン”を学生たちに与え続けている。「状況が変わり、発信される情報も変わるのだから、自分の考えが変わることを恐れないほうがいい」――企業の入社内定者&新入社員向けメディア「フレッシャーズ・コース2027」にも登場している江川さんの言葉に、いま、耳を傾ける。(ダイヤモンド社 人材開発編集部、撮影/菅沢健治)
* 『フレッシャーズ・コース2027』(ダイヤモンド社)は、全7巻ワンセット。江川紹子さんは、その第5巻「The Life」(著名人インタビュー)コーナーに出演している。当インタビューの一部は、そのコーナーからの抜粋。
神奈川大学の特任教授として学生に向き合う
ジャーナリストの江川紹子さんは、取材先でさまざまな人に会い、ノンフィクションを書く仕事を続けている。インタビューの相手は、事件事故の関係者や有名人だけではなく、市井に生きる一般人も多い。江川さんは、日々、どのような姿勢で、そうした人たちと向き合っているのだろうか?
江川 まず大切なのは、話を聞く相手に興味を持つこと。こうして取材される側になって改めて気づくのは、「話を聞く人が、私(江川紹子)のことを本当に知りたがっているのか? あるいは、仕事だから、単に話を聞こうとしているのか?」の違いです。私自身は、いつも、「あなたの本当のことを知りたい!」という思いでインタビューに臨んでいます。
「本当のことを知りたい!」――ヒト・モノ・コトの真相や真実を追求する姿勢は、江川さんの“持って生まれた資質”によるところが大きいようだ。
江川 私は、幼い頃から、調べることが好きでした。家族でテレビを見ながらご飯を食べているときに、耳に入ってきた言葉がわからないと、「ちょっと待ってて」と、2階の部屋に駆け上がって、辞書で調べ続け、「早く食べなさい!」と、食卓の母親に促されました。いまでも、調べることと取材することは好きですが、知ったことで満足してしまい、文章を書くために、気を入れ直さなければならない。私は、“書くこと”はあまり好きではないようで……(笑)。

江川紹子 Shoko EGAWA
早稲田大学政治経済学部卒業後、神奈川新聞社に入社し、定期採用初の女性記者として活躍する。29歳で同社を退社し、フリーランスに。坂本堤弁護士一家拉致殺害事件をきっかけにオウム真理教の取材を始め、1995年に菊池寛賞を受賞。2020年4月、神奈川大学・国際日本学部の特任教授に就任し、ジャーナリズムやメディアリテラシー、カルト問題をテーマにした授業を受け持つ。テレビ・新聞・ラジオなどの出演に加え、『名張毒ブドウ酒殺人事件』『人を助ける仕事』『「カルト」はすぐ隣に』など、多数の著書がある。企業内定者&新卒入社者向けメディア『フレッシャーズ・コース2027』にも出演している。
「(私は)“教えること”も上手ではない」と言う江川さんは、コロナ禍の2020年4月から、神奈川大学の特任教授として、ネット情報やメディアへの接し方、ジャーナリズムの在り方などを学生たちに教えている。
江川 「社会と大学をつなぐ橋渡しの役割を担いたい」と引き受けてから、6年が経ちました。体力的にちょっとくたびれたので、教壇を降りようと思ったのですが、授業を受けた学生が、「春から中学の先生になります。江川先生に教わったことを子どもたちに伝えていきます」とリアクションペーパーに書いてくれて、感動して……任された講義を続けています。そのひとつである『社会と人間』は、教員になる前から私がやりたかったもので、 “カルト”に対してどう向き合うかという内容。全学部が対象で、前期・後期合わせて400人ほどの学生が聴講し、「○○なカルトには気をつける」という“心のワクチン”をみんなが受け入れて、社会に飛び立っていきます。
江川紹子さんは、『フレッシャーズ・コース2027』の「The Life」コーナーにも登場している。大学の教壇にも立つ江川さんの考え方やメディアへの接し方(学生へのアドバイス)は、読者(企業入社内定者&新入社員)に多くの気づきをもたらしてくれる。







