「自分の考えが変わることを恐れないほうがいい」
生成AIによるコンテンツが増え、真偽の見極めや情報の選択が難しい時代になっている。また、AIでなくても、SNSでは不確かな文章や映像が拡散されることもある。一人ひとりが正しい情報を取り入れ、後悔のない判断を行うためにはどうしたらよいか?
江川 ひとつの情報だけで判断しないことです。たとえば、SNSで知ったものを、新聞やネットのニュースサイトで確かめたり、報道番組に触れて検証したりする。複数の情報源に接して誤りを見抜いていく必要があります。
たくさんの情報に接すれば、知見が広がり、物事の捉え方は柔軟になっていくだろう。一方で、新たな情報によって、自分の思いや考えに迷いが生じ、軸足が揺らぐこともあるのではないか?
江川 私は、“考えの変化を恐れないこと”が大切だと思っています。「一度言ってしまったのだから、いまさら変えられない」――そんなことはありません。状況が変わり、発信される情報も変わるのだから、自分の考えが変わることを恐れないほうがいい。そして、考えを変えた人を責めないほうがいい。もちろん、考えが変わった理由を知ることは大切ですが。
誰でも情報を発信できる時代のなか、他者との距離感(関わり合い)やコミュニケーションに腐心する人も多いだろう。江川さんは、「人に迷惑をかけない」という考え方が強くなり過ぎることも懸念している。
江川 職場や日常の暮らしのなかで、「(他者に)迷惑をかけない」という姿勢が重要視されますよね。そこに、「お互いさま」という考えはなく。AさんがBさんに迷惑をかけたけど、逆に、BさんがAさんに迷惑をかけたり、Cさんに迷惑をかけたりすることもあります。もちろん、他人に迷惑をかけたことに対して開き直る必要はないけれど、「迷惑をかけてはいけない」と言われると、人の気持ちと行動は萎縮します。「迷惑」と言っても、実は、当人にとってはそれほど迷惑ではなく、第三者が「迷惑!迷惑!」と騒いだりすることも多い。結果、迷惑も心配もかけていない人たちの反応を恐れて、こぢんまりしてしまう。人はお互いに迷惑をかけあいながら生きている――それを理解し、迷惑をかけたら素直に謝り、その経験を糧に頑張るというふうにならないと、社会はどんどん縮んでいく。人口が減るだけではなく、人の気持ちが縮んでいくのは問題だと、私は思います。









