アメリカと日本の
「早期発見」への意識の違い
「アメリカには、日本のように全国民を対象とする公的な医療保険制度は、原則としてありません(※注4)。がんのように大きな病気になると、治療費が高額になる場合があります。高額な医療費負債を抱える人もいると報じられています」
※注4:高齢者や低所得者の医療費を支援する制度は整備されています。
「そのため、治療費が家計を圧迫しないよう、定期検診で病気を早期に発見するという意識が日本よりも強い印象です。例えば、私が15年前にアメリカに遺伝子研究で留学した時は、お酒が大好きで何でも飲んじゃうスタッフや、身体が大きく恰幅のいい教授も、検診や予防接種への意識が高かったのを覚えています」
「一方、日本では全国民を対象とした保険制度が確立されています。米国と比べると自己負担額を抑えられるため、日本の保険制度は世界的に見てもとても優れたシステムだと言えます。しかし個人的には『病気になっても治療費を全額負担せずに済む』というメリットがあるがゆえに、大病に対する意識の緩さが生まれていると感じることがあります」
確かに私たちは病気になった後、一部の自己負担のみで治療を受けることができます。一方、人間ドックやがん検診などの「病気になる前」の検査は、治療目的ではないため健康保険の対象外となり、原則自己負担になります(※注5)。検査を受けるのも基本的には任意です。
※注5:企業や自治体が、無料または低額で実施している場合もあります。
また、「がん検診を受ける」と決めた人が、具体的にどんな検査を受けるかについても、任意で選べることがあります。
例えば、胃がん検診として国が推奨している検査方法には、X線検査(バリウム検査)と内視鏡検査(胃カメラ)の二種類があります。
両者を比較した上で、木村先生は「胃がんのX線バリウム検査は凹凸(おうとつ)のない平坦な病変や、ごくわずかな模様の違いは認識しにくいと言えます。早期がんのわずかな異変を発見するためには、カメラで直接内部を観察するのが効果的です」と評価します。
ですが、費用や身体的な負担などを考慮し、胃カメラを避ける人もいるそうです。







