総合病院に忖度して
「紹介状を出し渋る」クリニックも!?

 ちなみに、内視鏡検査で胃に腫瘍が見つかった木村先生は、転移や他のがんの有無、子宮頸がんの状態を調べるため、ほぼ全身の悪性腫瘍を一度に調べられる「PET検査(※注6)」を受けました。その結果、胃がん転移はなく、子宮頚がんも落ち着いた状態でした。そこで、すぐに内視鏡下手術での胃の腫瘍摘出が行われました。

※注6:放射性の薬剤を体内に注射し、その取り込みの分布を画像化することで、がんの有無や広がりなどを調べる検査方法。ほぼ全身を一度に撮影できるのが特徴ですが、がんの種類や部位によっては見つけにくい場合もあります。

「私が受けたPET検査は自費だと安くて12万~15万円。高いところだと20万~30万円することもあります」と木村先生。この金額を全額自己負担で支払うことには抵抗がある人もいるでしょう。

 もちろん保険制度だけの問題ではなく、人々に検診を知ってもらう取り組みや、検診費用を助成する制度などの課題も考えられますが、多くの国民が「病気になる前」の検査を気軽に受けられる体制を築くには、まだまだ改善の余地があるのは確かです。

 現状を踏まえ、木村先生は自身の患者を診療する際、がんの疑いがある場合は紹介状を書き、大学病院などの総合病院で精密検査を受けるよう勧めています。がんなどの疾患が疑われる患者に対し、診断や治療を目的として行う検査であれば、健康保険が適用されることが多いからです。

 しかし「業界の裏話」として木村先生が語ってくれたところによると、実は「総合病院への紹介をためらうクリニックもあります」とのこと。「やみくもに紹介状を出していると捉えられ、総合病院から嫌な顔をされることがあるからです」といいます。

「そうした事情がある中でも、かかりつけ医に『紹介状を書くべきだ』と判断してもらうには、患者さんが自身の症状を的確に説明することが大切です」と木村先生は強調します。

 では、辛い症状を抱えている人が、病状を的確に説明するにはどうすればいいのでしょうか。ヒントを明かすと、患者側が「わざわざ医者に言わなくても大丈夫だろう」と思っている症状を、ためらわずに話すことが重要となります。

 具体的な方法については、本記事の後編で、木村先生とともに解説していきます。

【後編を読む】
>>「この人、がんかも?」2度のがんを経験した医師が疑う「患者の何気ない言葉」