図表5-6は、企業規模ごとの労働者数のシェアを示したものである。

図表5-6 企業規模別の労働者数のシェア同書より転載 拡大画像表示

 景気変動で大きく変化しているときもあるが、傾向として1000人以上(大企業)のシェアが上昇し、100~999人(中企業)のシェアは横ばい、10~99人(小企業)のシェアが低下していることがわかる。

 コロナショックがなければ、この傾向はより明らかだったに違いない。人手不足のなかで、大企業は中小企業から人員を採用し、結果、中小企業のシェアは低下する。大企業はそもそも給与が高いので、既存の賃金を上げなくても人をとれる。

 一方、小企業は人員を少しでも維持するために賃金を上げざるをえなくなる。結果、大企業と中小企業の給与格差は縮小するわけである。

 ただし、2020年以降は大企業の労働者シェアの低下と中小企業の労働者シェアの上昇、大企業の賃金低下と中小企業の賃金が横ばいになることが起きている。これは2020年以降のコロナショックの影響で大企業の賃金低下と雇用削減に対し、人手不足に悩む中小企業がそれらの人材を採用したと考えられる。

 2023年以降は、再び中小企業から大企業に雇用が動く現象がみられる。

 なお、これらの動きには新卒採用の変化が含まれている。不況になれば大企業は新卒採用を控え、恒常的に人手不足に悩む中小企業は新卒採用を大きくは減らさない。

 2021年からの動きはコロナショックに対応したものだろう。しかし、その場合でも、大企業の雇用比率が増えることで大企業と中小企業の格差が縮小することは変わらない。

 これらのことは、中小企業政策においても金融財政両面から経済を超過需要気味に運営する高圧経済政策が重要であることを示している。高圧経済政策によって、ここでいう中小企業問題を解決できるからだ(高圧経済政策については、注3参照)。

注3 原田泰・飯田泰之編著『高圧経済とは何か』金融財政事情研究会、2023年