「教える力」のある人は、相手に「お土産」を持って帰ってもらうという感覚を大切にしています。

 お土産は相手に喜ばれるものであるべきです。少なくとも、相手が「いらない」と思うものを無理に渡すのは避けたいものです。いらないものをもらっても、大人は社交辞令で「ありがとうございます」と受け取ります。しかし内心では「困ったものをもらったな」「この人はセンスが良くないな」と、不名誉な評価を下されるかもしれません。

 逆に、相手が心から欲しがっていたものを手渡せれば、純粋に喜ばれ、相手の記憶にも長く残ります。あなたが「渡したい」ものと、相手が「喜び」を感じるものにズレはありませんか?渡して気分が良いのは、あなただけになっていませんか?

相手が欲しくない助言は
「いらないお土産」と同じ

 何かを教えるときも同じです。「いいことを教えてもらえた!」と相手に思ってもらえるのが理想ですが、「いつまでこの話が続くんだ」と思わせてしまったら、それは「いらないお土産」を押し付けているのと同じです。教える側は「いいことを教えてやった」と満足していても、教わる側にとってはただの苦痛。相手のニーズと自分の提供内容にズレがないか、常に自戒する必要があります。

 沖縄土産という、私の経験談を例に考えてみましょう。

 ある日、友人から沖縄の定番お菓子をいただきました。とても美味しいお菓子ですが、私は毎年仕事で沖縄に長期滞在しているため、すでに何十回といただいています。正直なところ、私にとっては「大喜びする」ような驚きはありません。

 友人は、私が喜ぶかどうかよりも、「自分が沖縄に行ったこと」を伝える手段としてそのお菓子を選んでしまった。つまり、自分軸でお土産を選んでしまったわけです。

 これが沖縄に行ったことがない相手なら、定番のお菓子は最高のお土産になります。相手の状況を考えない「自分軸」のプレゼントは、残念なリアクションを招きかねません。