乗客が粗相した場合のペナルティは
2万円程度が相場

 さて、乗客の迷惑行為に話を戻そう。生身の人間がシートを濡らす一因が粗相であるのは前述の通りだ。

 乗客の粗相や嘔吐に備えて、車内にビニール袋を常備しているドライバーは多い。だが、それでも間に合わないことはある。車内で出るものが出てしまうと、ニオイはそう簡単には取れない。程度によってはシートの張り替えが必要になることもある。

 こうした場合の損害賠償やクリーニング代について、以前は明確な基準がなく、現場の判断に任されていた。

 そのため、乗客に清掃費を請求できず、ドライバーが自腹で負担するケースもあった。シートの汚れとニオイのせいで営業できなくなったのに、会社からドライバーに補填がないこともあった。一方で、強気な運転手が高額な清掃費を請求し、乗客と揉めたこともある。

 一連のトラブルを避けるため、最近は、車内を汚した場合の請求額を明示するタクシー会社も増えている。目安は「2万円」程度だ。

 後部座席のガラスに案内を貼っているタクシー会社もあるので、乗車した際は試しに見てみてほしい。普段は気に留めないかもしれないが、いざというときに2万円を請求されて後悔しないためにも、一度確認しておいて損はない。

 タクシードライバーは乗客が思っている以上に、車内でのちょっとした仕草や言葉を覚えているものだ。

 何気ないひと言で救われることもあれば、その日の気分がどんよりと重くなることもある。タクシーに乗るときに、少しだけそのことを思い出してもらえたら、筆者としては嬉しい限りだ。