官公庁に特化したBtoBビジネスに注力し小中学校の給食用食器の納入で伸長

かつて、どの町にもあった刃物や金具などの金物、掃除用品やキッチン雑貨といった日用品を扱う荒物雑貨店。近年ではホームセンターや100円ショップなどの台頭により苦戦を強いられる中、新たなビジネスモデルで復権を期す会社がある。東京都葛飾区の釜亀(かまかめ)商店だ。

 同社は1925年に創業。「当初は100坪規模の店舗で、一般のお客さま向けの小売りから建築や飲食店などのプロ向けの卸販売まで広く展開し、ご支持を頂いていました」。そう振り返るのは現在、3代目として代表取締役社長を務める市川兼司氏だ。

官公庁に特化したBtoBビジネスに注力し小中学校の給食用食器の納入で伸長代表取締役社長・市川兼司氏

 しかし、冒頭の新業態の登場により、事業の柱の一つだった店舗販売の割合が減少。「後継者不足などにより、お客さまだった地元工務店の減少も見据え、2010年の社長就任から店舗の移転、事業の集約を進めてきました」と市川氏。

 コロナ禍も契機となり、21年に現在の店舗に移転。「そこから店舗販売と卸販売に加え、葛飾区役所を中心とする官公庁向けの卸販売に力を入れるようになりました」と市川氏。同社は葛飾区役所とは、区制施行以前の本田町(ほんでんちょう)役場の時代から付き合いがあり、区役所内や区管轄の公共施設で使う備品、防災グッズなどの備蓄・補充など幅広く取引を継続してきた。

プロの目利きにより
高品質の商品を厳選

官公庁に特化したBtoBビジネスに注力し小中学校の給食用食器の納入で伸長東京都葛飾区の小中学校に採用されている給食用食器の強化磁器。陶磁器のよさを生かし、破損率を低下

 こうした歴史的経緯を経て、同社が現在、取引を拡大しているのが区内にある小中学校への学校給食用食器や厨房用品の納入だ。

 学校給食用食器は、旧来のアルマイト食器から、各種樹脂製の食器など、時代に合わせ、各自治体や学校ごとに採用商品が決められてきた経緯があり、「東京都23区内では、食育の観点からも古くから日本人に親しまれてきた陶磁器の採用が推奨されています」と市川氏。

 そこで、強度・軽量性・安全性を要件に、同社では食器メーカー・三信化工の強化磁器の提案やサンプル提供などを経て、区内の小中学校への採用が決定。現在、区内73校の約3分の2で導入を進め、予算を勘案しながら、段階的な入れ替え作業を進めている。