社会福祉法人伸こう福祉会(神奈川県川崎市、遠藤健 理事長)は、今、18カ国から168名の外国籍のスタッフを採用し、介護現場全体の20%を占めている。国別ではインドネシア、ベトナム、中国、ネパールなどが中心で、年齢層は低く、20〜30代が多い。法人所属の施設の中で、外国人の職員が全体の半分を占める特別養護老人ホームもある。

 外国人の採用を担当する国際部特命部長の林燕さんは次のように語った。

「当法人で働く外国人スタッフはが非常に優秀です。特に東南アジア圏出身のスタッフは、『お年寄りを敬い、家族を大切にする』という文化があるので、利用者さんにやさしく接していて、利用者本人や家族からも感謝状を贈られたりして評判が良い。そして、持ち前の明るい性格で施設全体が明るくなり、利用者さんの笑顔も増えた」

「これまでは、施設長たちは外国籍のスタッフの採用に不安や抵抗を感じていましたが、今は、自ら外国籍のスタッフを入れたいと言うほど引っ張りだこになっています」

 こうした外国人労働者は日本にとってありがたい存在であり、本来なら感謝されてもおかしくない。しかし、冒頭で触れた日本政府による一連の政策厳格化や、近年日本社会で高まる外国人への不満など、逆風が吹いている。

 林さんは「外国籍のスタッフのみなさんは日本人と同賃金で、同じく納税し、社会保険に加入しています。なぜならそうしないと在留資格の更新ができないからです。それにもかかわらず、『外国人は日本の社会保障にタダ乗りし、ルールを守らない』と言われるのは、あまりにも理不尽です……」と嘆いた。

「無理ゲーだよ」
介護業界から悲鳴

 厚生労働省が8月末に公表したデータによると、2025年の医療・福祉分野で働く外国人常用労働者は13.7万人となり、雇用の理由として約8割の事業所が「労働力不足の解消・緩和のため」と答えた。

 医療・介護業界において特に危惧されるのが在留資格変更・更新手数料の値上げだ。本人負担が増えれば、日本で働き続けることをためらう人が出る可能性がある。人材流出を防ぐため、増額分を事業者側で負担する動きが出ているという。