給与増を上回る家賃の壁
郊外や築古を選ぶ若者たち
近年は給与水準も上昇しているものの、家賃の上げ幅がこれを上回る人も多いだろう。そうなると、同じ面積で同じ家賃水準にしたいとなると郊外に引っ越さざるを得なくなる。なぜなら、家賃は都心オフィスへのアクセス時間に準じて決定されるからで、離れれば安くなるからだ。
この家賃の変動については、もう少し実態説明をしておこう。コロナ禍となり、飲食や宿泊など接客を伴う業態は営業できなくなり、多くの非正規雇用の人は解雇された。職を失った人は家賃が払えなくなると、実家に戻るなり、引っ越しを余儀なくされた。こうして空室率が急増したので、単身者向けの家賃水準は下落し始めた経緯がある。
コロナ禍が終焉し、雇用が回復すると、一人暮らしを始める人が急増し、家賃が上がり始める。しかし、家賃上昇がある水準を超えると今度は居住者が郊外移転を始めたのだ。コロナ直後は需要が増えるので家賃が上がる現象だったが、家賃が上がり過ぎると都区部の需要が減るという真逆の現象が起こったのである。
この結果、都区部のシングルタイプの賃料は最近頭打ち傾向を示しており、周辺部の賃料は軒並み上昇幅を大きくし始めている。年収水準に応じて、家賃に予算の上限があるならば、周辺部の中でもさらに郊外化が今後進むのかもしれない。
家賃に予算があるなら、物件選定の仕方は都心寄りか郊外かという軸だけとは限らない。それ以外に、築年数の古い物件を選定するのも1つの方法である。賃貸居住者のアンケート結果では、物件選定の際に最も譲歩するのは築年数だったりする。ちなみに、築年数1年で家賃は1%程度下がることが多い。
これ以外にも、面積を小さくする方法もある。家賃は「面積×単価」で、単価は周辺相場からほぼ決まっている。ゆえに面積を絞れば、家賃水準は下げられる。しかし、そうしたニーズに合う面積帯の物件がストックとして少ないという実情が都区部にはある。







