職場でよく相談される人は、それだけ周囲から頼りにされている人でもあります。しかし、相談される回数が増えるほど、本人には目に見えない負担が積み重なっていきます。今回は書籍『「今日も仕事が終わらなかった」はなぜ起きるのか?』から、「相談される人」が知らないうちに払っているコストについて紹介します。

「相談される人」が実は損する本当の理由Photo: Adobe Stock

相談の「10分」だけを失うわけではない

たとえば、資料をつくっている最中に「ちょっと相談してもいいですか?」と声をかけられたとします。相談は10分で終わりました

しかし、相談された側が失ったのは、本当に10分だけでしょうか。実は、それ以上の損失があります。

資料に戻れば、「どこまでやったんだっけ」「このデータから何を言おうとしていたんだっけ」と、中断前の状態を思い出さなければなりません。相談そのものが短くても、その前後で仕事の「切り替え」が発生しているのです。

消えてしまうのは「時間」だけではない

特に厄介なのが、考える仕事をしている最中の相談です。文章を書いたり、企画を考えたりしているとき、頭の中ではいくつもの情報をつなぎ合わせながら思考しています。

そこに別の相談が入れば、その状態はいったん途切れます。相談が終わってパソコンの前に戻っても、ファイルは中断前のままですが、頭の中まで中断前の状態で残っているとは限りません。「いいアイデアが出そうだったのに、何を考えていたのかわからなくなった」ということさえあります。

「よく相談される人」ほど切り替えが増えていく

しかも、頼られる人ほど、この中断が一日に何度も起こります。

資料を考え始めたところでAさんから相談され、戻ってきたらBさんに質問され、ようやく集中したところでCさんに声をかけられる。一つひとつに丁寧に対応しているので、本人は一日中忙しく働いています。しかし、自分の仕事にまとまって集中できる時間はどんどん短くなります。

相談に乗ること自体が悪いのではありません。「いつ相談を受けるか」をコントロールできないことによって、切り替えのコストが積み重なってしまうのです。仕方ない面もありますが、意識はしておくべきポイントです。

相談するなら「中断しているとき」がいい

この観点から言えるのは、「相談する側」にも工夫の余地があるということです。

相手が資料に集中している最中にいきなり声をかけるより、会議が終わった直後、休憩に入ったとき、別の仕事へ移るタイミングなど、もともと仕事が中断しているときに相談するのがよいでしょう。そのほうが、新たな切り替えを発生させずに済みます。

急ぎでなければ、「手が空いたときに10分相談したいです」と先に伝えて、相手にタイミングを選んでもらうのもいいでしょう。

相談の負担は「何分話したか」だけでは決まりません。

相手の集中をどこで切ったかによっても変わります。よく相談される人ほど、自分の集中時間を守る。そして相談する側も、相手の仕事の「切れ目」を意識する。それだけで、お互いの仕事はずっと進めやすくなるのです。