この知人は、販売の経験が浅かったにもかかわらず、売上成績が非常に優秀で、上司からも高く評価されていました。

 なぜそこまで売れたのか、本人にコツを聞いてみたところ、返ってきた答えは意外なものでした。

 彼は接客の際、20種類以上の商品を並べ、一つひとつ淡々と説明していきます。特別にどれかをすすめることはせず、あくまで公平に案内します。

 その間、彼はお客様の「表情の変化」を意識して観察します。表情が少しでも変化したら、どの商品について説明していたときかをひそかに記憶しておきます。お客様の視線はパイプに向けられているので、表情を読まれていることには気づきません。

 説明をすべて終えた後、表情が動いた商品を取り上げ、「なかでも個人的に注目してるのがコレなんですよ」などと軽くすすめると、高確率で購入に結びつくのだそうです。

 商品にまったく興味がない場合、表情もしぐさも反応しません。でも興味をそそられたときには、高い確率で表情が変化したり、なだめ行動(編集部注/不安や緊張、ストレスをやわらげるために無意識に出るしぐさ。具体例としては、腕をさする、顔や髪に触れる、唇をかむなど)といった形で反応があります。彼はこの反応に自然と気づいていたのです。

 表情の変化で興味のありそうな商品に目星をつけたら、あとは簡単です。「じつはこれ、かなり人気商品なので、もしご興味があればお早めに……」などと軽く背中を押してあげるのです。

 たくさんの選択肢の中から、「たまたま」自分が気にいったものがじつは人気の商品だったとしたら……。自分の目利きに間違いがなかったと感じることができ、お客様も悪い気がしません。その結果、思わず購入してしまうというわけです。

購入意欲の高い客には
共通する行動がある

 反応があるということは、興味がある兆候――。

 ぜひ、そのことを念頭に置いてビジネスに活かしてみてください。

 たとえば、あなたが販売員として接客する立場であるなら、店内を見回してお客様の動向に注目するのです。

 マーケティング調査や行動学の研究から、購入意欲が高いお客様は以下のような行動を取る傾向があるとわかっています。

・歩くペースが速い。
・特定の売り場に長くとどまる。
・商品を手に取り説明書きやタグを読む。
・表情が豊かになる。
・なだめ行動が増える。
・店員を探す動作、頭の動きが増える。

 こうした動きをしているお客様は、購買意欲が高い可能性が大です。積極的に声をかけるべき対象だと考えていいでしょう。