その後、部下が「すみません、ちょっと難航していまして」と説明してきたら、原因は明確です。仕事が予定通りに進んでいないのでしょう。状況に応じて、こちらが支援するか、指示し直すかを検討できます。

 あるいは、部下が無言のまま、肩に力を入れた状態で黙っていたとしたらどうでしょう?

 この時点では原因は不明です。「仕事の問題」とは限らず、別の要因も関係しているかもしれません。こうしたときには、「今ちょっとタイミング悪かったかな。あとで話そうか」といった柔らかい対応で様子を見てもいいでしょう。

 またはすぐに笑顔になり、「順調です!今日中にまとめてご報告します」と返ってきたとします。一瞬だったとはいえ、肩に力が入った反応が少し気になりますよね。

 この場合は、強く問い詰めたりせず、「何か引っかかっているのかも」と、軽く心にとどめておく程度にしましょう。もしかしたら、話しかけられると自然と身構える癖があるだけかもしれません。

 観察を続けていくと、「気にするべき変化」と「気にしなくていい変化」の見極めができるようになります。たった1回の反応では何とも言えませんが、複数回繰り返されればそれは行動の傾向になり、やがて「本音の輪郭」が見えてくるはずです。

「順調です」と言いながら
目をそらしたら要注意

 相手の本音を見抜くうえで、「変化への気づき」と同じくらい重要なキーワードがあります。それは「言葉と行動の不一致」です。

 つまり、言っている内容と表情や態度がかみ合っていない、ちぐはぐに感じられる場面に着目するのです。そうした違和感を生じる瞬間こそ、相手の隠れた「本音」が浮き彫りになる絶好のチャンスです。見逃さないように鼻を利かせましょう。

 前項で紹介した例で、あなたが指示をした仕事の進捗状況を尋ねたとします。

 そのとき部下が目をそらしながら無表情で「順調です。特に問題はありません」と答えたとします。

 口頭ではポジティブなことを言っておきながら、表情やしぐさはネガティブなリアクション――これこそが「言葉と行動の不一致」です。そこに何か隠された事情があるかもしれません。