もちろん、リアクションだけで何か問題があると決めつけることはできません。そもそも彼が普段からあまり感情を表に出さないタイプなのかもしれません。

 その場合は特に異常ではないとも言えますが、もしそうならば、別の問題として態度を改善していく必要があるかもしれません。

 しかし、もしその部下が日頃から人の目をしっかり見て話すタイプであるにもかかわらず、今回に限って視線を外し、無表情になったのだとしたら?「順調と言っているのだから大丈夫だろう」と、楽観的に考えるのは得策ではありません。たとえその場ですぐに理由を聞き出さなかったとしても、何か異変がある可能性を想定し、次に備えておくことが肝心です。

 たとえばこんなふうに伝えてみましょう。「途中の段階でも構わないから、今どんな感じか一度見せてもらえる?ちなみに今日の午後、時間取れるかな?」

 柔らかく聞くことで、相手の様子を探りつつ、より自然な形で情報を引き出すよう心掛けましょう。

ポジティブな言葉と
ネガティブな態度のズレを見る

 不満や不安を感じたときの反応として、

・「熟考(怒り)」「嫌悪」「恐怖」の表情(編集部注/筆者は、眉毛全体を中央寄りに下げ、眉間にしわを寄せる「怒りの表情」の上部だけを使ったものを「熟考の表情」と呼んでいる。「嫌悪の表情」は上唇が上がり鼻の周りにしわができる表情、「恐怖の表情」は眉が中央に寄って上がり、目を見開き、唇を水平に引く表情としている)。
・唇をプレスする、口角を下げる。
・なだめ行動(編集部注/不安や緊張、ストレスをやわらげるために無意識に出るしぐさ。具体例としては、腕をさする、顔や髪に触れる、唇をかむなど)。
・猫背、肩をすぼめる。

 といったものがあります。このようなネガティブな振る舞いをしながら、「ありがとうございます」「とても楽しみです」「大丈夫です」などとポジティブなことを話していたら、それは内面と表現とが一致していない兆候と受け取れます。その背景には、直接的に不満や否定的な感情を伝えることが難しい事情があるかもしれません。可能性を疑ってみるべきです。

 たとえば、あなたが新しい商品やサービスについてクライアントにプレゼンをしているとします。資料も念入りに準備し、自信に満ちた態度で臨んだとしても、説明が相手に正確に伝わっているとは限りません。

 だからこそ、要所で次のように確認することが大切です。「ここまでの説明、大丈夫でしょうか?」「何かご不明な点はございますか?」

 このときの相手の反応に注目しましょう。たとえ言葉では「大丈夫です」「なるほど」と答えていたとしても、もしその表情が険しかったり、「熟考の表情」をしていれば、真意は別にあるかもしれません。

 そんなときは「つまり先ほどのポイントを簡単にまとめると……」などと補足説明を加え、理解を深めてもらうことが有効です。

 逆に、相手が目を輝かせたり、力強くうなずいたりしていれば、それは好意的な反応と受け取っていいでしょう。また、無表情であっても、こちらの話を妨げることなく真剣に聞いている場合は、「問題なく先に進めてください」というサインと捉えて問題ありません。

 注意すべきは、「ポジティブな発言」と「ネガティブな態度」がセットになって表れたときです。これは商談やプレゼンだけでなく、日常の1対1の会話でも同様です。相手の言葉だけでなく、そのときの表情や動きにも意識を向けましょう。