しかも、部下の評価を下げる権限は上司にある。「協調性に欠ける」「まだ任せられない」という評語がつけば、次の仕事や昇進に響く。評価する側が、指摘を受けて不快になった当事者でもある。この重なりを放置したまま、社員に率直な意見だけを求めるのは身勝手だ。

問題に気づいても
黙っていた社員が残る

 こうした評価を昇進の根拠にすれば、次の管理職を選ぶ基準まで狂う。上司の見落としを補おうとした社員が外れ、問題に気づいても黙っていた社員が残る。自分に従順な部下を高く評価する上司は、会社の次の顔ぶれまで変えてしまう。

 費用が合わなければ、その数字を示して断ればよい。品質に問題があれば、確かめる項目を示せばよい。判断の理由を部下が調べ直せる形にしておけば、反対意見は、仕事をよくする材料になる。「私がそう決めた」で閉じると、部下には従うか逆らうかしか残らなくなる。

 会社が任せたのは、人を働かせて成果を出す権限であり、社員の仕事ぶりを公正に評価する責任も、そこには伴う。部下の指摘で自信が揺らいだとき、その不安の後始末を、相手の将来に引き受けさせてはならない。

 提案した社員の評価を下げれば、上司は自分の判断を守れる。そのしわ寄せを受けるのは、仕事をよくしようとした部下だ。問題を見つけたことが本人の不利益になる職場で、人を育てる仕事など成り立たない。

 指揮系統を守ることにこだわり、必要な人同士が直接やり取りすることを妨げ、ばかげたルールを変えようとしない人。絶対に部下を持たせてはいけないのは、そういう上司である。

イーロン・マスクが嫌う「絶対に部下を持たせてはいけない人」の決定的な特徴

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