マンガ「陽のあたる家 生活保護に支えられて」(2013年7月より、秋田書店「フォアミセス」誌にて短期連載開始)が、同誌の想定読者層である20~60代女性を中心に、静かな関心を集めている。
今回は、作者・さいきまこ氏へのインタビューを紹介する。さいき氏は、なぜ、生活保護に関心を向け始めたのだろうか? なぜ、生活保護というテーマを含むマンガを、世に問おうと考えたのだろうか?
出版社から契約を切られフリーへ
働かない夫と離婚、息子と2人に
「陽のあたる家 生活保護に支えられて」は、現在、秋田書店「フォアミセス」誌にて連載中のマンガだ。
筆者はまず、サブタイトルに明確に含められた「生活保護」の4文字にインパクトを感じた。「この作品は、正面から生活保護を扱っています」というメッセージだろう。
さらに、「フォアミセス」誌を購入して連載第1回を読んでみた筆者は、作品の説得力と迫力に度肝を抜かれた。どこにでもいそうな夫妻と子ども2人の一家を、どこにでもありそうな災難が襲い、一家は困窮する。その様子が、テンポのよいストーリー展開とともに、リアリティをもって迫ってくる。女性向けコミックの絵柄があまり好きではない筆者が、引き込まれてしまったほどだ。
ぜひ、多くの方に、作品を目にしていただきたい。その思いから、作者のマンガ家・さいきまこ氏にインタビューをお願いした。
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――こんにちは。最初に、さいきさんが、どういう経緯でマンガ家になられたのか教えていただきたいのですが。
35歳の時、契約社員として出版社に勤務していたんですが、それだけでは充分な収入が得られていませんでした。さらにその後、契約を切られました。当時、夫と4歳の息子(現在は大学生)がいたんですけど、夫はロクに働かない人でした。息子を育てるためには私が仕事をするしかなかったので、フリーライターとして、エッセイを雑誌に売り込みはじめました。それが、マンガ家になるきっかけでした。
――どのようなエッセイだったのですか?
育児エッセイです。当時は育児エッセイの全盛期でしたから。そのとき、売り込みが成功しやすくなるよう、エッセイに1コマのイラストをつけたところ、「イラストのほうが面白い」と評価されまして。イラスト入りエッセイの連載のお仕事をいただくことになりました。その中で、4コママンガや8コママンガを、自分の裁量で自由に描かせていただきました。