私は管理職の方々に「目標ではなく、目的を追いかけてください」とよく話しています。

 目標というのは、社内事情です。

 営業なら「今期○億円を売る」、開発部門なら「この納期までに、この品質を実現する」といった数字が上から下りてきます。

 しかし、それだけを追いかけていると、目標を達成した瞬間に次の目標が降りてきて、ずっと同じことを繰り返すだけになります。

 そうではなく「この目標を達成し続けた先に、何を実現したいのか」「そもそも、何のためにこの仕事をしているのか」という「目的」を考えてほしいのです。

 目的から逆算すると、「今の仕事のやり方で本当にいいのか」「今の組織の形でいいのか」といった疑問が出てきます。

 そこで気づいたことを、上層部や役員に提案する。

 これを繰り返していけば、課長であっても未来を構想する力は身についていきます。

 私はさらに、「もし自分がこの事業の取締役だったら、どうしたいのか」を常に考えておくことも大切だと思っています。

 会社には派閥もあります。人間が3人以上集まれば、どうしてもそういうものは生まれます。

 しかし、単に「この役員は力がありそうだから、この人についていこう」と考えてしまうと、結局は上司の顔色だけを見る「ひらめ部下」になってしまいます。

 それでは健全ではありません。

 まず自分自身が、「この事業をこうしていきたい」というビジョンを持つことです。

 そのうえで、経営陣の発言を見ながら、自分のビジョンとベクトルが近い人は誰なのかを考える。そして、その人と仕事を通じて関係を作っていく。

 目の前の仕事をきちんと回せることは、もちろん重要です。

 しかし、役員を目指すのであれば、それだけでは足りません。

 課長の段階から、経営層に自分の仕事を知ってもらい、「自分だったらこの会社、この事業をどうするのか」を考える。

「与えられた仕事を遂行する人」で終わるのか、「会社の未来を構想する人」へと変わっていけるのか。

 私は、ここが課長止まりの人と役員に上がる人を分ける大きな境目だと考えています。

第2回記事<「仕事ができないのに出世する人」に共通する“たった1つのスキル”とは?>は9月26日(土)午前8時に公開されます。前川孝雄氏をフォローすることで取材記事(全5回)をメールでお送りすることができます。