どうすればお金をかけずに、売上や利益をもっと増やせるのか? この切実なお悩みに答えるのが、人気の販促コンサルタント・岡本達彦氏の最新刊『客単価アップ大事典 「つい買ってしまう」販促の仕掛け75』(ダイヤモンド社刊)です。同書は、「行動経済学×現場目線」で「つい買いたくなる」販促の仕掛けとは何かを言語化した初の書。本書が提示するのは、「お客様の購買行動そのものを変える設計とは?」です。どうすれば、「利益が残る経営」へと変われるのか? 本連載では、『客単価アップ大事典』に収録しきれなかった事例の中から、現場ですぐに導入でき、成果につながりやすい客単価アップの仕掛けを厳選してご紹介していきます。
Photo: Adobe Stock
15万円のスマホが、
「10万円の買い物」に見える理由
新しいスマートフォンを買おうとして、「15万円もするのか…」と、買い替えをためらったことはないでしょうか?
そんなときに目にするのが、「今使っているスマートフォンを下取りに出すと、新しいスマートフォンが割引になります」という案内です。
ここで不思議なのは、古いスマートフォンを5万円で現金買取しても、新しいスマートフォンから5万円引いても、金額だけ見れば同じだということです。
それなのに、なぜ「5万円で買い取ります」ではなく、「新しいスマートフォンが5万円安くなります」という形にするのでしょうか?
実はここに、高額商品の購入負担を小さく感じさせる販促の仕掛けがあります。
「15万円」ではなく「差額10万円」で考えるようになる
例えば、欲しいスマートフォンが15万円で、今使っている端末の下取り額が5万円だったとします。すると、お客様の頭の中では、
15万円-下取り5万円=10万円
という計算に変わります。
商品自体は15万円のままです。それでも、「15万円のスマホを買う」ではなく、「今のスマホに10万円足して、新しいスマホへ交換する」という感覚になります。
人は商品の価格そのものだけでなく、「自分はいくら追加で払えばよいのか」でも高い・安いを判断します。
下取りによって、価格を見る基準が「本体価格」から「差額」へ変わるのです。
現金で渡すと、スマホ以外に使われる
もし古いスマートフォンを5万円で現金買取したら、その5万円は自由に使えます。「旅行に使おう」「貯金しよう」「新しいスマホはもう少し我慢しよう」となるかもしれません。
一方、購入代金から直接差し引けば、その5万円は最初から、「新しいスマートフォンを買うためのお金」になります。
つまり、
古いスマホを売る
↓
何に使うか考える
↓
新しいスマホを買うか判断する
という複数の判断を、
古いスマホを下取りする
↓
差額で新しいスマホを買う
という一つの判断にまとめているのです。
「まだ使える」が、「価値があるうちに替えよう」に変わる
買い替えを止める理由の一つが、「今のスマホもまだ使える」という気持ちです。
ところが、「このスマホは5万円で下取りできます」と値段がつくと、古いスマホが、「まだ使えるもの」から、
「新しいスマホを5万円安くしてくれる資産」に変わります。
すると、「まだ使えるから買い替えない」だけでなく、「価値が残っているうちに下取りしたほうがいいのでは?」という考えも生まれます。
古い商品の価値を、買い替えを止める理由ではなく、買い替える理由に変えているのです。
新品そのものを値下げしなくてもよい
もう一つ大きいのが、新品価格を崩さずに済むことです。
例えば15万円の商品を、「今なら10万円」と大幅値引きすると、お客様に、「本当は10万円の商品なのでは?」「また安くなるまで待とう」と思われる可能性があります。
しかし下取りなら、本体価格15万円はそのままで、「あなたの端末なら5万円分安くなります」と伝えられます。
安くなる理由が、「商品が売れないから」ではなく、「あなたが持っている端末に価値があるから」になるのです。
価格を守りながら、実際の支払額だけを小さくできるわけです。
上位モデルも選びやすくなる
下取りは、客単価アップにもつながります
例えば、「予算は10万円くらい」と思っていた人でも、5万円の下取り額があれば、15万円の商品でも実質負担は10万円です。
すると、「どうせ10万円払うつもりだったなら、上位モデルにしよう」という判断が生まれます。つまり下取り額は、単に安く買うためだけではなく、「一つ上の商品を買うための予算」にもなるのです。
他のお店でも使える「今持っているものを購入資金に変える」設計
この考え方は、買い替えが発生する商品なら応用できます。
・家具店
古いソファを買い取って現金で渡すのではなく、新しいソファの購入代金から差し引く。
・自転車店、ゴルフショップ
今使っている商品を査定し、その金額を上位モデルの購入資金として使ってもらう。
・美容機器、業務用設備
「新品100万円」ではなく、「現在の機器を30万円で下取りするので、差額70万円で最新機種へ交換できます」と提案する。
まとめ
この仕組みを販促の観点から整理すると、
・本体価格ではなく「差額」で考えてもらい、高額商品の購入負担を小さく見せる
・下取り額を自由に使える現金にせず、新しい商品の購入資金として直接結びつける
・「まだ使えるから買い替えない」を、「価値があるうちに買い替えよう」に変える
・新品そのものを値下げせず、商品の価格を守る
・下取り額を使って、より上位の商品も選びやすくする
という、古い商品の価値を、次の商品を買う理由へ変える販促の仕掛けなのです。
販促コンサルタント
現場目線ですぐ使えるマーケティングを伝える第一人者。
広告制作会社時代に100億円を超える販促展開を見て培った成功体験をベースに、むずかしいマーケティングや心理学を使わず、
アンケートやマンダラ等を活用して、誰でも売れる広告を作れる手法を体系化する。
業界を問わず即効性が高く、お金をかけずに売上を上げられることから、全国の商工会議所・経済団体などからセミナー依頼が殺到する。
初の著書『「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法』(ダイヤモンド社)は、Amazon上陸15年、「売れたビジネス書」50冊にランクインする。
他の著書に、『お客様に聞くだけで「売れない」が「売れる」に変わるたった1つの質問』
『あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル』
『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法』『「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(以上、ダイヤモンド社)等がある。




