家庭を後回しにする働き方の「賞味期限」
誤解のないようにお伝えしておくと、新規事業の発足時や大きなプロジェクトの山場など、一時的に仕事に全力を注ぐべき「キャリアの勝負どころ」が存在することは事実です。
しかし、あらゆる場面において家庭を後回しにし、家族の犠牲の上に成果を出す働き方には、明らかに「賞味期限」が存在します。中長期的なキャリアや組織運営の視点から見ると、持続可能性がなく、遅かれ早かれ限界を迎えます。
家庭を犠牲にして働く人が、管理職として長期的に活躍できない理由として次の4つが挙げられます。
理由1:リソース配分と優先順位付けの弱さ
第一の理由は、限られたリソースの中で優先順位を正しく見極める力が欠けている点です。
何が何でも仕事を最優先にする人は、一見すると責任感が強くプロ意識の高い人物に見えます。しかし見方を変えれば、人生や業務における重要度と緊急度の判断ができていない証拠でもあります。
たとえば、年に一度の子どもの学校行事は人生において重要度が高いイベントであり、家族の突然の病気やけがは緊急度の高い事象です。視野を仕事の範囲に限定せず、限られた時間という貴重なリソースを、重要度と緊急度に応じて最適に配分する力こそ、マネジメント能力に他なりません。あらゆる場面で機械的に家庭を後回しにする対応は、戦略的な思考をしていないことの表れでもあるのです。
理由2:他者の事情に対する想像力と配慮の欠如
第二の理由は、他者に対する想像力が働かず、配慮に欠ける点です。多様な働き方や生き方を受容する現代の組織において、他人の立場に立てない人物が部下からの信頼を得ることは難しいでしょう。
家族との約束や育児・介護といった個人の事情を軽視してきた人は、部下を持つ立場になったとき、部下が抱える個々の生活背景やライフイベントに対しても冷淡になりがちです。一律に仕事を優先するのが当然だという態度を押し通す指示や発言を繰り返し、やがて人望を失います。







