二人は相互理解と決裂を繰り返し、ストーリーは二転三転する。

 主人公である沼田の価値観が揺さぶられ続けられる物語であるからこそ、視聴者は感情移入できるのだろう。「美容整形が悪」であるとか「女の敵は女」といった、使い古された価値観はこのドラマにはない。

業界用語の説明がいちいち入らない

 細かいところでは、美容業界で使われる専門用語の説明がいちいち入らないところが良いと感じた。専門用語が使われるドラマでは、登場人物のセリフや字幕などで、その用語の説明をしがちである。

『ダウンタイム』では、「ボト」「バッカルファット除去」「内視鏡リフト」「人中短縮」などの専門用語がこれでもかと出てくる。しかしその説明はいちいち行われない。説明がなくとも物語の進行は理解できる筋立てとなっているし、そもそもこの時代、気になった人は検索すればいいのだからまったく問題なく感じられた。

 いちいち説明を挿入しないことで、スピード感が損なわれず、カットの切り替えが多い展開を楽しむことができた。

話題性だけではない「基礎体力」の高さ

 美容整形という題材そのものに、いまの時代ならではの話題性があることは間違いない。しかし、『ダウンタイム』が配信直後から多くの視聴者を引きつけている理由は、それだけではないだろう。

 俳優の顔を大胆に映し出す映像、それを成立させる特殊メイクと演技力、意外性のあるキャスティング。そして、視聴者に過剰な説明をせず、次々と物語を動かしていく脚本。その一つ一つの完成度が高い。

 さらに、美容整形を単純に肯定も否定もしない姿勢が時代にマッチしている。外見を変えることで人生が好転する人がいる一方、整形に依存する人もいる。美しくなりたいという欲望には、他人からの評価も、自分自身のためという思いも入り交じる。そこに簡単な答えを出さない。

 題材の強さに頼るのではなく、その題材をどう見せ、どう物語にするのかという部分まで丁寧に作り込まれている。全8話を見終えて改めて感じたのは、やはり最初に書いた「ドラマとしての基礎体力の高さ」だった。