「朝は軽く済ませたいな」「コーヒーだけでいいや」と思うことはないだろうか? しかし、朝こそ食事を摂ることが、体のリズムを整える上でとても大切だという。そのスイッチを押すのが、朝の炭水化物。体をシャキッと目覚めさせる朝食の摂り方のポイントを、管理栄養士の星穂奈美さんに教えてもらった。
(本稿は書籍『疲れやすいオトナ女子を救う あなたの食習慣を変える100の提案』を一部抜粋・加筆し編集したものです)

時計Photo: Adobe Stock

朝の食事と「体内時計」の関係

 私たちの体には、脳にある「中枢時計」と、肝臓などの全身の臓器にある「末梢時計」が存在します。
 これらの体内時計は、地球の自転に伴う1日(約24時間)の周期に合わせて体内環境を調整する機能を持っています。概日リズム(サーカディアンリズム)と言われます。

 朝、窓を開けて日光を浴びると、光の刺激が中枢時計に伝わり、リセットされます。しかし、それだけでは体の準備は完了しません。内臓や筋肉の末梢時計は、まだ眠ったままの「時差ボケ」状態だからです。
 そこで、全身の時計を連動させ、体をしっかり覚醒させるために必要なアクションが「朝食を食べること」なのです。

なぜ「朝の炭水化物」がスイッチを押す?

 朝食の中でも、体内時計のリセットに働く栄養素が「炭水化物(糖質)」と言われています。

 仕組みとしては、まず、私たちがご飯やパンなどの炭水化物(糖質)を摂ると、血液中のブドウ糖濃度が高まり、膵臓から「インスリン」という血糖値を下げるホルモンが分泌されます。このインスリンが末梢時計に直接働き、1日の活動が始まることを伝え、体内時計をリセットする役割を果たしてくれると言われているのです(※1)。
 炭水化物を抜いて野菜(サラダ)やコーヒーだけで朝食を済ませてしまうと、インスリンが十分に分泌されず、内臓の時計はリセットされにくくなってしまいます。その結果、代謝やホルモン分泌に悪影響を与え、体温が上がらなくなり、午前中の集中力低下や倦怠感へとつながってしまいます。

食べるタイミングは「起床後1時間以内」がベスト

 体内時計を整えるためには、「起きてから約1~2時間以内に朝食を口にする」ことがよいと言われます(※2)。
 前の晩の夕食からある程度の絶食時間(睡眠時間)を経て、朝一番に炭水化物(糖質)を取り入れることで、メリハリのある体のリズム(概日リズム)が生まれるのです。

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 ここでお話ししたような「いつ」「何を」「どう食べるか」という時間栄養学の分野は、まだ発展途上のところもありますが、健康維持・増進を目指すものとして、近年、人への効果を裏付ける研究が進んでいます。
「朝は食欲がわかない……」という人も、まずは簡単に摂れるバナナや小さな一口サイズのおにぎりから始めてみませんか?

※参考:
1)Jakubowicz D,Landau Z,Tsameret S,et al.Reduction in Glycated Hemoglobin and Daily Insulin Does Alongside Circadian Clock Upregulation in Patients With Type 2 Diabetes Consuming a Three-Meal Diet:A Randomized Clinical Trial.Diabetes Care 2019;42(12):2171-80

2)Tahara Y,et al.:Entrainment of the mouse circadian clock:Effects of stress,exercise,and nutrition.Free Radic Biol Med119:129-138,2018