日本企業はデジタルカメラにおいては、画素数などのハード技術で世界をリードしましたが、スマホによって「撮影し、アプリで加工し、クラウドで即座に共有する」という体験全体の価値に敗れました。
つまり、競争の中心は「優れた部品や単一技術を作ること」から、「多様な技術やサービスを統合して顧客に価値を届けること」へとシフトしたのです。そして今、AIもこの構造変化が起きています。
AIモデルがインフラ化・汎用化するからこそ、勝負の分かれ目は「AIというエンジンを使って、現実世界の課題をどう解くか」に移ります。すなわち、AIを自社のデータ、物理的な製品、業務プロセス、そして何より「現場の知識」と統合して形にできるインテグレーターこそが勝てるのです。
実は、AIを活用したインテグレーターとして、日本には世界に誇るべき巨大プレイヤーが存在します。
それは、ハードウェアとソフトウェアの両輪を併せ持つ日立製作所です。
Photo:PIXTA
今年5月、日立製作所はAnthropicとの戦略的提携を発表しました。日立グループ約29万人の業務プロセスにAnthropicの「Claude」を導入するとともに、AI人材の育成を加速させ、社会インフラ向けAIソリューションに活用していく方針を打ち出しています。
このニュースを見た時、「日立ほどの企業でも基盤AIでは米国の軍門に降ったのか」「日本のIT・AIはやはり負けた」と受け止めた人も少なくないかもしれません。
しかし、私はまったく逆だと捉えています。コモディティ化していく基盤モデルは世界最高峰のパートナーから賢く調達し、自らは「最も付加価値の高い統合領域」を取りに行くという、極めて合理的な戦略だからです。
日立ができていて、米国や中国のビッグテックができていない部分を具体的に比較してみましょう。







