Photo by Shotaro Imaeda
日立製作所は脱製造業化にかじを切り、デジタル関連事業を拡大する構造改革を進めてきた。家庭用エアコンでのボッシュとの協業や、家電事業のノジマへの譲渡もその一環だ。だが、空調の一部事業だけは一度手放した後に「出戻り」という異例の展開を見せる。特集『絶対王者ダイキンの死角 空調グローバル大戦の行方』の#5では、日立が空調事業を手元に残した真意を解明するとともに、家電がノジマ傘下に加わったことによる影響度を分析する。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
ITに注力し、家電撤退の日立
空調だけはイレギュラーな変遷
「白くまくん」で知られる日立製作所の家庭用エアコンは50年以上の歴史を誇り、ダイキン工業の「うるるとさららシリーズ」や三菱電機の「霧ヶ峰」などと並んで国産エアコンの代表格に位置付けられてきた。
ところが現在では、白くまくんの製造は独ボッシュが担っている。さらに今年4月には、エアコンを含む家電事業を量販店大手のノジマに譲渡することを発表した。これらは、脱製造業化を進め、IT関連の事業に傾注するための事業構造の組み替えの一環である。
ただし、家電の中でも空調だけはイレギュラーな変遷をたどっている。日立は家庭用エアコンを手放したが、業務用空調は自社事業として継続する。一度は家庭用・業務用共に空調事業を米ジョンソンコントロールズとの合弁会社に切り出したが、業務用空調は「出戻り」をさせるという日立の長い歴史の中でも異例の扱いになったのだ。いったいなぜか。
次ページでは、日立が一度は手放した空調事業を手元に残した真意を解明するとともに、家電事業がノジマ傘下に加わったことによる影響度を徹底分析する。関係者の間では、日立ブランドのエアコンをノジマが拡販することで、空調事業に“意外”な追い風が吹くとの見方があるのだ。







