検討部会では、(1)カスハラの言葉を広めること、(2)防止の理念や責務を定めること、(3)罰則を置かず、ガイドラインをはじめとする多様な手法で実効性を高めること、(4)B to Cだけでなく、B to B(=関係業者からのカスハラ)も射程に収めること、(5)加害・被害の理念を再設定すること(=誰もが加害者になりうると認識すること)、(6)業界・企業自身がそれぞれ対策を定めること、の6点が重要であると結論づけられました。

東京都は罰則なしだが
桑名市は氏名公表まで定めた

 今回の条例の第4条では、「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない」と定められています。禁止規定には罰則は付随しておらず、あくまでも理念的なものです。注目すべきは「何人も」となっている点です。よくある「顧客等」ではないのです。この広範さは、こだわりを感じさせるポイントです。

 さらに、カスハラの加害者および被害者を可能な限り広範に設定しています。どちらにもなりうる事業者については単に民間企業に限らず、社団や財団、任意団体、国の機関、個人事業主も含んでいます。

 これらの条例に「罰則をつけるかどうか」について言及しておきましょう。東京都では、最終的に罰則は設けられなかったので、罰則規定を設けた桑名市の事例をみていきます。

 桑名市の条例では、誰もが安心して働ける環境と誰もが安心して事業活動を行うことができる環境を確保し、市民生活の充実向上と市内経済の健全な発展に資することが目的とされています。そのうえで、カスハラを「顧客の言動のうち、要求の内容に妥当性がないもの又はその妥当性に照らして手段及び態様が社会通念上相当でないものであって、就業者の就業環境を悪化させるおそれがあるもの」と定義しています。「顧客」には取引先を含まないと定めている点、市内でのあらゆる活動におけるカスハラを対象にしている点が特徴的です。