一つ目は、取引先が大きなリスクを引き受けるような仕事です。BtoBの高額商材や富裕層の資産形成など、取引先や顧客が大きな意思決定をしなければならない場合、洗練されたマナーを身につけていることが信用される条件のひとつとなります。
二つ目は、新規開拓の営業など、実績や肩書による信用の土台がない状態から信用を勝ち取ることが職務の中心になっていること。
三つ目は、信用を勝ち取る手段として、会食が実際の仕事に含まれていることです。
この三つがそろって初めて、食べ方は職務遂行能力とつながります。業務上求められる能力であれば、選考で見極めるのはむしろ当然と言えます。
食べ方ひとつで
人柄まで決めつけない
逆に言えば、社内SEや研究職など、会食をほとんどしない職種で、食事のマナーを採用基準にする根拠は乏しいということです。
そもそも採用選考で見ていいのは、本人の適性と能力に関わることだけです。厚生労働省も本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を採否の判断に持ち込まないよう求めています。
食べ方が、自由であるべき事項として例示されているわけではありませんが、食習慣には宗教や信条、家庭環境と深く関わるものもあります。
昨今では、面接時、アイスブレイクのつもりで、深い意図なく、食べ物の好き嫌いを聞くのもNGです。箸の持ち方や食べる速さが仕事の成果とどう結びつくのか説明できないまま評価に反映させるなら、それは基準ではなく、面接官の好き嫌いにすぎません。
三つの条件がそろう仕事で会食での振る舞いを見る場合も、基準を言語化し、面接官同士でそれを確認しておくことが欠かせません。
見るべきは食べ方だけではなく、同席者の飲み物が減っていることに気づけるか、お店の人にどんな態度をとるかといった点も含まれるはずです。
本当は配慮に満ちた丁寧な人なのに、食べ方という一点だけで、気遣いのできない人だと性格まで決めつけてしまう。それは決めつけられた側にとって不幸なだけでなく、採用する側にとっても、優秀な人材を逃す損失になるのです。








